※下に現代語訳と解説がありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
莫切自根金生木 : 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
唐来参和『莫切自根金生木』[天明5(1785)年刊]
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【原文】
①本文
捨てたる金銀、世間の金と一塊ニなりて、倍増しニなりて飛び帰りけれバ、今ハ家《うち》にも立ち切り難く、夫婦 諸共《もろとも》出奔《しゆつぽん》して、野山も分かず歩きし所へ、先に借りたる人/゛\、今ハ金持ちとなり、借りたる金ニ利ニ利を添えて持ち来たり、無理無体ニ「返済せん」とて、辰巳《たつミ》上がりに金を押つ付ける。
②萬々の妻
「本ニ金持ちの女房にハ何がなるか」
③萬々
「置き所の無い金ハ、逆さにして振るつても、置き所ハ御座らぬ」
④借り手A
「元利《がんり》揃へてお宿へ返済ニ参つたら、ちゃんと留守を遣わつしゃるから、これまでやつかけて[追つ掛けて]参つた」
⑤借り手B
「儂《わし》らハ御蔭で金持ちになりました。
その恩を忘れさせうとハ太い人だ。
御受け取りなされずバ、公辺《こうへん》ニ致して御返済申す」
⑥借り手C
「何でも家《うち》へ引き摺《ず》つて、金を皆 括《くゝ》し付けるがいい」
【現代語訳】
①本文
捨てた金銀が世間の金も引き寄せてひとかたまりになり、倍に増えて飛んで帰ってきたので、今では家に居続ける事も困難になりました。
そこで、夫婦一緒に家を出て失踪し、野山でもどこでも構わず逃げ歩いていると、以前に萬々から金を借りた人々が、今は金持ちとなり、利息をたっぷりつけて、借りた金を持って追いかけて来ました。
そして、強引に「返済しましょう」と言って、荒々しく金を押し付けるのでした。
②萬々の妻
「ほんと、金持ちの妻になんかなるもんじゃない」
③萬々
「置く場所のない金は、逆さにして振っても、置く場所はできませぬ」
④借り手A
「元金と利息をそろえてお宅へ返済にうかがったら、ちょうど留守でいらっしゃったから、ここまで追いかけてきました」
⑤借り手B
「わしらは旦那のおかげで金持ちになりました。
その恩を忘れさせようとは、なんて太っ腹な人だ。
お受け取りくださらないなら、裁判沙汰にしてでも返済いたします」
⑥借り手C
「どんな手段を使ってでも旦那を家まで引きずって戻し、金をみんな縛《しば》り付けてしまおう」
【解説】
このお話のクライマックスは前回だったのですが、もうちょっと話は続きます。
萬々夫妻は、もう手の打ちようがないので、家を出て失踪しようとします。
しかし、みなさま、覚えていますか、最初の方で萬々が金を貸しまくったことを。
ようやく、その伏線が回収されますヾ(๑╹◡╹)ノ"
kihiminhamame.hatenablog.com
金を貸した人たちがみんな金持ちになって、萬々を追っかけてきて、利子をたっぷりつけて返済したので、更に金が増えてしまうという。
もう、観念するしかないようで。。。
次回、最終回です。
「三つ目を探せ!」も次回が最終回だよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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