※下に現代語訳と解説がちゃんとあります。
井原西鶴『西鶴諸国はなし』貞享二(1685)年刊
西鶴諸国はなし : 大下馬. 巻5 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
【翻刻】
神主《かんぬし》集《あつ》り。毎夜《まいよ》/\。御ともし火の消《きゆ》る事を。
不思儀《ふしぎ》におもひつるに。油《あぶら》のなき事。いかなる犬《いぬ》けだもの
のしハざぞかし。かたじけなくも。御社の御燈《ごとう》ハ。河刕《かしう》一 国《こく》
照《てら》させたまふに。宮守《ミやもり》どもの。ぶさたにもなる事也。是《せ》
非《ひ》に今宵《こよひ》ハ付《つけ》出し申べしと。内談《あいだん》かため。弓 長刀《なぎなた》を
ひらめかし。思ひ/\の出立にて。ないじんに忍《しの》び込《こミ》。ことの
様子《やうす》を見るに。世間の人しづまつて。夜半《やはん》の鐘《かね》のなる
時《とき》。おそろしけなる山 姥《うば》御 神前《しんぜん》にあがれバ。いづれも
氣《き》を取《とり》うしなひける。
【現代語表記】
神主《かんぬし》集《あつ》まり、
「毎夜《まいよ》毎夜、御灯火《おともしび》の火の消《き》ゆるを不思議《ふしぎ》に思いつるに、油の無き事、如何《いか》なる犬獣《いぬけだもの》の仕業ぞかし。
忝《かたじけな》くも、御社《みやしろ》の御灯《ごとう》は、河州《かしゅう》一国《いっこく》照《て》らさせ給うに、宮守《みやもり》どもの無沙汰《ぶさた》にもなる事也。
是非《ぜひ》に今宵《こよい》は付《つ》け出し申すべし」
と、内談《ないだん》固め、弓、長刀《なぎなた》を閃《ひらめ》かし、思い思いの出立《いでたち》にて、内陣に忍《しの》び込《こ》み、事の様子《ようす》を見るに、世間の人静まって、夜半《やはん》の鐘《かね》の鳴る時、恐ろしげなる山姥《やまうば》、御神前《ごしんぜん》に上がれば、何《いず》れも気《き》を取《と》り失いける。
【現代語訳】
枚岡明神の神主たちが集まり、
「毎晩、お灯明の火が消えるのを不思議に思っていた所、油が無くなっていることが分かりました。
どんな犬や獣《けもの》の仕業なのでしょうか。
恐れ多くも、このお社《やしろ》のお灯明は、河内の国中をお照らしになるというのに、その火が消えてしまうということは、お社をお守りする我々神主たちの失態ということにもなります。」
と、内々で相談し、弓や長刀《なぎなた》をキラリと光らせ、思い思いの武装で社殿の内陣にこっそり隠れ、どういうことが起こるのか見守りました。
すると、世間の人々が寝静まって、夜中の鐘が鳴る頃、恐ろしい姿のヤマンバが現れてご神前に上がったので、みんな気を失ってしまいました。
【解説】
さすがに毎日のように油が無くなるのをおかしいと思った神主たちは、犯人を待ち構えることにしました。
いつものように油を盗みに来た老女を見て、神主たちはヤマンバだと思って腰を抜かしてしまいます。
さて、老女と神主たちはこのあとどうなってしまうのでしょうか?
それにしても、神主さんたち、平和的解決じゃなくて、武力制圧する気満々なのが、なんともヾ(๑╹◡╹)ノ"
八十八歳なのに、毎日油を盗みに来る老女も元気だよねヾ(๑╹◡╹)ノ"
お前は何歳なんだ?ヾ(๑╹◡╹)ノ"
たしか300歳ぐらいだよヾ(๑╹◡╹)ノ"
元気すぎるだろ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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