前回、火の玉の正体がゴイサギだという話が出ましたが、
kihiminhamame.hatenablog.com
実はこの当時、ゴイサギはキツネやタヌキや猫などと同様に、妖怪扱いされていました。
今回は、山東京伝作の『怪物徒然草《ばけものつれずれぐさ》』[寛政四[一七九二]刊]に、妖怪として登場しているゴイサギを、次に読もうと思ってる話にもちょっと関係してくるので、取り上げておきます。
怪物つれつれ草 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
【原文】
年 経《へ》たる五位鷺《ごいさぎ》、「大千世界《だいせんせかい》を見ん」と四界《しかい》に羽《は》を打って出けるが、渺渺《びやう/\》として臨《のぞ》むに、
目の限り無く年の波[普通に「波」と言えばよい所を、シャレて年老いた事を表す「年の波」とした]穏やかなりけれバ、傍《かたハ》らの岩に腰を掛け、羽《はね》を休めんとすれバ、
忽《たちま》ち下に声《こゑ》有りて、「俺が甲羅《かうら》に腰を掛けるハ何者ぞ」と呼バわる故《ゆえ》、
五位鷺《ゴヰサギ》驚き、これを見れバ、形、梅干しを束《つか》ねたるごとき親爺《おやじ》の年の功《かう》[読みは「こう」。「甲」と掛けた]なりければ、肝を潰して逃げ帰《かへ》る。
[親爺のセリフ]
「鷺《さぎ》とは[「さりとは」と掛けた]不敵者《ふてきもの》だ。
まだ「五位鷺《ごいさぎ》ませ[「ごめんなさいませ」と掛けた]」と謝れバ料簡《りやうけん》もするが、とんだ青鷺《あをさぎ》[「青二才《あおにさい》」と掛けた]の考への無ひ奴だ」
[五位鷺のセリフ]
「とんだ目に遭《あ》ハぬ内《うち》、早くこの場を年の功《かう》/\[読みは「としのこう」。「立ち退《の》こう」と掛けた]」
【現代語訳】
年老いたゴイサギが、「あらゆる物を見てやろう」と、世の中に羽ばたいて行き、空から広く果てしない世界を眺めると、見える限り続く波が穏やかだったので、近くにあった岩に腰をかけ、羽を休める事にしました。
すると、すぐに下から、「俺の甲羅に腰をかけるのは誰だ!」と叫び声が聞こえました。
ゴイサギは驚き、下を見てみると、岩ではなく、梅干をギュッとしたような姿のオヤジの甲羅[背中]でした。
ゴイサギはとても驚いて逃げ帰りました。
オヤジ「なんとまあ、失礼な奴だ!
「ごめんなさいませ」とでも謝れば許してやるものを、なんて未熟で浅はかな奴だ!」
ゴイサギ「ひどい目にあわないうちに、早くこの場を立ち去ろう、立ち去ろう!」
【解説】
現代語訳では表現できないダジャレ連発なので、ぜひ、原文も合わせてご覧ください。
年老いたゴイサギなのに「青二才」とののしるオヤジが面白いですね。
さて、この挿絵を見て、何か違和感を感じませんか?
分かった方は、遠慮なくコメントしてくださいませ。
正解は次回に発表することにしましょうヾ(๑╹◡╹)ノ"
よく見たら襖《ふすま》に波が描かれているねヾ(๑╹◡╹)ノ
年老いたゴイサギは波の絵を本物の海の波と見間違えたんだねヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
現代語訳はありませんが、詳しい注が付いているので、古文を勉強されたい方には最適な一冊です。大学のテキストにも使用されています。
※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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