今回から読み始めるのは、桜川慈悲成《さくらがわじひなり》作・歌川豊国画『化物夜更顔見世《ばけものよふけのかおみせ 》』(寛政三[一七九一]年刊)です。
この作品は以前にも取り上げたのですが、読み返したら雑で間違いも多かったので、再読することにしました。
妖怪物が恋しい季節になってきましたしね。
決して、ネタ切れと言うわけではありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
化物夜更顔見世 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (3ページ目です)
【原文】
罷り出《いだ》せる此《この》二冊物《にさつもの》ハ、物《もの》は物にて化物《ばけもの》成《なり》。
されど怖ひ物に非《あら》ず、恐ろしい物に非ず、まつた気《き》の利いた物では猶《なを》無し。
趣向《しゆこう》ハ新《あたら》しひ物やら、古《ふる》ひ物やら、物が物して物が物と、たゞ戯《もの》したまゝに筆《ふで》をさつさ物に走らセ、心得《こゝろへ》太郎兵衛《たろべゑ》籠の目[心得たろ→太郎兵衛駕籠《たろべえかご》→籠《かご》の目、と掛かっている。「太郎兵衛駕籠」は、「結局同じこと」と言う意味の当時の流行語]ときた物なれば、
大目に見《もの》して御覧《もの》願ひ、上巻《あげまき》[この作品は上下巻からなるので、この序文が書かれている上巻のことをさしているが、歌舞伎舞踊の『揚巻《あげまき》』ともかかっているか]の抜け穴と物す。
ずんど田舎者 慈悲成《じひなり》述《ものす》
【現代語訳】
この度出版いたします、この上下二巻からなる草紙は、化け物のお話であります。
とはいえ、恐ろしいものではございません。
かといって、シャレたものでもございません。
新旧織り交ぜた題材で、ただ思うままに書きつらねましたので、籠の目のように大雑把な内容となっておりますが、どうか大目に見てやってくださいませ。
以上、言い訳を兼ねたご挨拶といたします。
written by ど田舎者・慈悲成
【解説】
今回は序文の箇所です。
当時の歌舞伎役者の契約期間は、十一月から翌年の十月までが1シーズンでした。
十一月の舞台は、メンバーの入れ替えなどがあって新たなシーズンのお披露目の興行になります。
タイトルにある「顔見世」とはこの興行のことを言います。
まあ、序文なので大したことは書いてませんが、ここで分かるのは、この作品が上下二巻で完結する化け物のお話だということです。
そして、現代語訳では省きましたが、原文では「もの」という言葉をテンポよく連呼した、言葉遊びのようなシャレた文章になってるのが特徴です。
慈悲成の署名の下には、落款《らっかん》にしてはなにやらカワイイ絵が描かれています。
上部右に「ね一」とページ番号が振られていますが、印刷されたものではなく、所有者が後から書き加えたものと思われます。
上部中央についている紋は、出版者の西村屋与八の紋ですね。
※参考『七福今年咄』より
七福今年咄 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回)】
ヒント1:か(「可」のくずし)
ヒント2:り(「里」のくずし)
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※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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