【前回までのあらすじ】
お六の許婚の川太郎に支度金を返すために、恋人の与四郎が藪医者の欲庵から借りた金は、ちょろけん小僧が野良狐の玉(お六が盗んだ)の力で木の葉を小判に変えて返します。
お六のことを諦めきれない川太郎は、野良狐の玉の力で人間の色男に化けてお六を取り戻そうとたくらむのですが。。。
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
化物夜更顔見世 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (12ページ目です)
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【原文】
お六と与四良《よしらう》ハ、欲庵へ返した金の尻が割れて、今ハ身を忍ぶ色事の習ひ、小石川辺に裏店《うらだな》を借り、お六・与四良は、ちん/\かもかしハ[男女が仲睦まじい事を意味する「ちんちんかもかも」と鳥の「鴨《かも》」、鶏肉を意味する「かしわ」を掛けて、「鶏」からの連想で下の「雌鶏・雄鶏」につなげている]、雌鶏《めんどり》・雄鶏《おんどり》仲良く暮らす所へ、欲庵が手引きにて、川太良、数多《あまた》の化け物を引き連れ、「お六を取り返さん」と、色/\に化けてきた心意気だが、野良狐の呪《まじな》ひが効かぬから、猫ハ猫面、馬《むま》は馬面、牛は牛面、根つから詰まらず。
「わつちやァ、嫌。お前の様《やう》な化け物に」と憎まれ口を聞く。
川太良《かハたらう》、際どい所で、お六を口説く、拝む/\。「ちょっと、口《くち》/\」
「おいらハ化けているが、己《うぬ》が目には入らぬか。ハテ、化けな面だ」
ちよろけんハ、玉の徳にて、人間と化けている。
「ちょろけん太郎化又《たろうばけまた》、いで物見セん」と言うまゝに。
「ひゝん、道化《どヲけヱ》なり」
【現代語訳】
お六と与四郎は、欲庵に返した金の正体が木の葉だったことがバレ、色恋沙汰の定めとはいえ、今は身を隠さねばなりません。
小石川辺りの裏通りの家を借り、雌鶏と雄鶏のように仲良く暮らしていましたが、それを捜し出した欲庵の手引きで、川太郎がたくさんの化け物を引き連れて「お六を取り返そう!」とやってきました。
化け物たちは色々な人間の色男に化けてきたつもりでしたが、野良狐のまじないが効かなかったので、猫は猫顔、馬は馬顔、牛は牛顔のままで、バカバカしいったらありゃしない。
お六は、
「私は嫌! お前のような化け物に好かれるのは[化け物の嫁になるのは]!」
と憎まれ口をたたきます。
川太郎は、こんな大変な状況なのに、お六を拝んで口説きます。
「ちょっとだけでいいから、チューして〜!」
猫「オレは人間の色男に化けているはずだが、お前には見えないのか?
おや、おかしいな、化け物顔のままじゃないか」
ちょろけん小僧は、玉の力で人間に化けています。
「ちょろけん太郎化又《たろうばけまた》、目に物を見せてやろう!」
とか何とか言っちゃったりして。
馬「ひひ〜ん! これでは道化役ではないか!」
【解説】
玉の力で小判に変えた木の葉は、ずっと小判のままではなくて、しばらくしたら木の葉に戻ってしまったようです。
お六にアピールするために色男に化けるのは川太郎だけでいいのに、他の化け物も人間の色男になるように野良狐に頼んだのは、川太郎に協力するお礼の意味合いもあったのですかね。
まあ、玉はお六に盗まれてしまっているので、野良狐の呪文が効くわけもないんですが(笑)
「ちんちんかもかし」は「ちんちんかもかも」の誤記かと最初思ったんですが、んもう、こんな所にまでダジャレを仕込んでいるとは、油断も隙もないです(笑)
お六はハッキリと川太郎に「化け物は嫌!」と言っています。やっぱ顔で与四郎を選んだんですね(笑)
川太郎は川太郎で、愛しのお六を目の前にしてなんとも下品なことを口走っています(笑)
そして、猫さんは化け物顔のままなので、吉原に行くのは断念するしかないでしょう(笑)
ちょろけん小僧は「ちよろけん太郎化又」なんて歌舞伎の役名っぽい名前を名乗って調子に乗っていますが、頭は大きいままなんで、化け具合がなんだか中途半端な気がします(笑)
次回、衝撃の最終回です!
【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(前回の答え)】
【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回)】
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※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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