【前回までのあらすじ】
川太郎(河童)は、人間の与四郎に取られた元許婚のお六(ろくろ首)を取り戻すために、野良狐の玉の力で人間の色男に化けたはずだったのですが。。。
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
化物夜更顔見世 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (13ページ目です)
※画像は拡大できます。
【原文】
化け物共、ちょろけんに追い散らされ、「どうも化けた気《き》だが、化けねヱとハ合点がゆかぬ」と、野良狐が方へ来たり、この由《よし》を話せば、狐、「それは心得ぬ」と名玉の箱を取り出《いだ》し、よく/\見れば、玉ハ何時《いつ》の間にやら鳥《とり》の町《まち》[「(鳥の町に)鳥が帰る」→「取り替える」ということ]、唐《とう》の芋《いも》とぞなりにけり。
狐も肝を芋にして、「いもうようもない」と呆《あき》れたとのこと。
いかに青本《あをほん》[絵本・絵草紙の類]なればとて、花水橋でお六がすり替えたという狂言もなひに、今、芋とハ、今朝の雑煮の腹の皮 縒《よ》って、お笑い御一覧《ごいちらん》と目出度《めでた》き春の新板物《しんばんもの》/\/\。
「俺を名玉の替え玉とは名玉千万《めいぎよくセんばん》」と唐の芋が不平吹いたが、地口《ぢぐち》を言つたは、この草紙が初めてなり。
豊国画
桜川慈悲成《さくらがわじひなり》戯作《げさく》
【現代語訳】
結局、化け物たちはちょろけん小僧に追い払われ、
「すっかり化けたつもりでいたが、なぜか化けれていなかったのはどういうことだ」
と野良狐の家に行って文句を言いました。
野良狐が「そんなはずはない」と名玉が入った箱を取り出し、中を見ると、玉はいつの間にやら里芋に取り換えられていました。
野良狐も肝を芋にして[「きも」と「いも」という似た単語を重ねた][ビックリして]、
「いもうようもない[「言いようもない」と掛けた][言葉も出ない]」
と、あきれ果てたということでした。
いくら絵本のお話だと言っても、花水橋の野良狐の家でお六が玉を芋にすり替えたというのは、あまりにもふざけてますよね。
まあ、朝食で食べた里芋入りの雑煮で膨れた腹をよじらせて、笑いとばして読んでやってくださいませ。
めでたい春の新刊でございました。
「オレを名玉の替え玉にするとは、名玉千万《めいぎょくせんばん》[「迷惑千万《めいわくせんばん》」と掛けた][とんだ迷惑だ]!」
と、里芋が不満を言いましたが、里芋がダジャレを言ったのは、この絵本が初めてでございます。
歌川豊国・画
桜川慈悲成《さくらがわじひなり》・作
【解説】
いやあ、最後までダジャレ連発でしたが、この絵本は、新春に向けて年末に出されたもののようです。
人間に化けた方が強くなれるのですかね?
特にお六やちょろけん小僧のその後が描かれることもなく、あっさりこの物語はこれで終了です(笑)
それにしても、最後が、まさかの里芋の言葉で締めくくられるのは、この作品以外にはないでしょうね(笑)
里芋は親芋に子芋・孫芋が付き、子孫繁栄の縁起物として正月に食べられていたそうです。
だから、新年の新刊のオチに使われたというわけです。
【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(前回の答え)】
【一つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回)】
ヒント
次回からは、僕の仲間が登場する作品を取り上げるみたいだよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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