(ネズミの巣穴から現れた女の生首)
(天井からぶら下るひょうたん)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
※画像は拡大できます。
【原文】
明くる三日の夜ハ、居間なる隅《すミ》にて、鼠《ねづミ》の巣の有りしに、その小さき穴より、女の生首逆様になりて、髪を突き立てゝ歩み行きたり。
扨《さて》、平太郎が膝《ひざ》に上がり、頭《かしら》に登りて首を廻りつゝ、所〻を舐《ねぶ》りしとなり。
其の心地、言はん方も無かりしが、程無く消え失せけるとぞ。
同じ夜半の頃ハ、天井に青/\として、円《まど》かなる物見えしが、瓢箪《へうたん》の蔓《つる》を引きて、頓《やが》て平太郎が臥したる上に下がりけるとなり。
【現代語訳】
翌、七月三日の夜は、居間の隅にネズミの巣があったのですが、その小さな穴から、女の生首が逆さまになって、髪を突き立てて、平太郎の所に近づいてきました。
そして、平太郎の膝に上がり、頭に登って首を回りながら、あちこちを舐《な》めました。
その舐められ心地は、言いようもなく気持ち悪かったのですが、間もなくして消え失せたという事です。
同じ日の夜中には、天井に青々として丸い物が見えたかと思えば、ひょうたんがツルをのばして、そのまま平太郎が寝ている上にぶら下がったということです。
【解説】
女の生首に舐められるのは、かなり怖いし嫌ですね!
やっと妖怪が本領を発揮し始めたという事でしょうか。
が、ひょうたんはこれまた地味だというね。
そして、平太郎はこれまた放置で何もしないという。
フォルムが似てるから、ひょうたんの中に僕が混じっても気づかれないかな?
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