(葛籠が化けたヒキガエル)
新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
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【原文】
十二日には化け物の仕業と見へて、居間の四角の柱に貼り置きし祈祷札《きとうふだ》に輪の如く墨を塗りて消しけるとぞ。
扨、夜に到りてハ、物置の中より大いなる蟇蛙《ひきがへる》飛び出て、平太郎が寝《いね》て有りし上に飛び上がりける。
其の蛙の胴を見れば、組紐《くみひも》の結びて有りし故、平太郎も「葛籠《つゞら》の化けし物よ」と心得、そのまゝ此の紐を捕らへて離さず臥せけるが、夜明けて見れバ、臥したる腹の上に葛籠を乗せて、紐を捕らへて有りけるぞと。
【現代語訳】
七月十二日には、居間の四角の柱に貼っておいた祈祷札《きとうふだ》の文字が、輪のように丸く、墨で塗りつぶされて消してありましたが、化け物の仕業だと思われます。
さて、夜になると、物置の中から大きなヒキガエルが飛び出て来て、平太郎が寝ている上に飛び乗りました。
その蛙の胴を見ると、組紐《くみひも》が結んであったので、平太郎も、「葛籠《つづら》が化けた物だな」と分かり、そのまま組紐を掴《つか》んで離さずに寝ました。
夜が明けて見てみると、平太郎は、腹の上に葛籠を乗せて、組紐を掴んで寝ていたということです。
【解説】
塩ばかりでなく、お札まで効果がない妖怪ヾ(๑╹◡╹)ノ"
知らない人が見たら、翌朝の平太郎は、「起きたら葛籠を腹に乗せて寝ていたドッキリ」に引っ掛かった人みたいですね(そんなドッキリはない)ヾ(๑╹◡╹)ノ"
僕は紐で縛られるのが好きだよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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