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三十日目その1『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』)

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(化け物のボスらしき男がやってくる)

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(囲炉裏の灰が吹き上がる)

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(灰が丸い頭のようになって、両角にコブが出来る)
(壁にトンボのように突き出た目と口が現れる)
※この挿絵はどちらを描いているか不明確。

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(平太郎の嫌いなミミズが這い出て来る)

 新日本古典籍総合データベース
※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0)
※画像は拡大できます。

【原文】

晦日《つごもり》ハ色/\怪敷《あやしき》事有りけるが、先ず、此の夜の始めには五つ時頃、人品骨柄《じんぴんこつがら》宜敷《よろしき》四十ばかり男、浅黄《あさぎ》の上下《かみしも》に二刀《にとう》違《たが》へに差し、「許し給はれ」と案内して、裏の方ゟ入り来たりぬ。
平太郎ハ見しより、
「是なん、兼ねて思ひ設けたる化け物ゝ長《おさ》なるべし。一刀に打ち止めん」
と立ちまち刀を抜き、横様に切り掛けしが、彼の男は飛ぶと見えて、忽《たちま》ち消え失せける。
しばし有りて、天井より彼の男の聲と聞こえて、「刀の技《わざ》を止めよ」と、「理《ことわり》委敷《くわしく》申し聞かせる」と也。

扨《さて》こそ刀技止むべき由、申し聞かせる内ニ、平太郎の傍《かたへ》なる居間、囲炉裏《いろり》の蓋《ふた》、ふと開きしが、風にて吹き上げしが如くにて、扨、其の跡より灰を吹き上ゲしが、次㐧/\に大いに高く吹き出しける程に、円かなる事頭の如くになりて、その上の両角に瘤《こぶ》の如くなる物出来て、此處《ここ》自《おの》づから、閉じつ開きつ、煙を吹き出して、其の煙の間《あはひ》より蚯蚓《みゝず》這《は》ひ出ぬ。
平太郎兼ねてより嫌ひける蚯蚓なれバ、殊《こと》の外《ほか》忌《い》まわ敷《しく》困りける。
然《しか》るに、程無く蚯蚓消え失せて、彼の頭の如きの物、くるりと返ると見えて、何も無くなりて、向こふの壁にさしも大い成る目口ばかり現れにける。
其の目の恐ろしき形は、蜻蛉《とんぼう》の目の如く附き出て、青光りに見へにける。
後は是も消え失せしと也。

【現代語訳】

 七月の最終日は、色々と怪事がありました。

 まず、この夜始めは、五つ時[午後八時]浅黄色の裃《かみしも》を着て、大小二本の刀交差させてに差した、品格が良い四十歳くらいの男が、「ごめんくさい」挨拶して、裏の方から入ってきました。

 平太郎この男見てすぐに、
こいつが、前々からやっつけたい思っていた化け物のボス違いない
 一太刀《ひとたち》討ち取ってやろう」
 と思い、すぐに刀を抜いて横に斬り付けました。

 しかし、その男飛び上がったかと思うと、たちまち消え失せてしまいました。

 少ししてから、天井からこの男らしき声聞こえて、「振り回すのはやめよ事情詳しく説明するから」と言いました。

 「刀を振り回すのはやめよ」言い聞かせている時平太郎にある居間の囲炉裏《いろり》のフタがふと風で吹き上がったように開いて、それから、囲炉裏の灰吹き上がりました。

 は徐々に大きく高く吹き上がり丸い頭のようになって、その頭の上の両角《りょうかど》コブのようなものができました。

 そのコブ自分閉じたり開いたりして、吹き出しその煙からミミズ這《は》い出してきました。

 平太郎以前から嫌いミミズなので、かなり不愉快困りました。

 しかし、すぐにミミズ消え失せて、その頭のようなものは、くるり引っくり返ったかと思うと、パッと消えて正面の壁とても大きな目と口だけ現れました。

 その目は、トンボのように突き出た恐ろしい形で、青く光っているように見えました。

 しばらくして、これも消え失せました。

【解説】

 ついに最終日です!
 化け物のボスらしき男やってきました!
 平太郎討ち取ろうとしますが避けられ、事情説明するから、ひとまず刀を収めるように説得します。
 まあ、その間にも化け物色々な怪異起こし続けて、忙しいったらありゃしない。
 最後の最後平太郎がミミズ嫌いだという事が分かりましたが、化け物はどこからその情報仕入れたのでしょうかね?ヾ(๑╹◡╹)ノ"

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【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(前回の答え合わせ)】

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【三つ目からの挑戦状~くずし字クイズ(正解は次回発表)】

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 次回化け物の正体分かるんだけど、伏せ字にしておくねヾ(๑╹◡╹)ノ"                    

 

◆インフォメーション

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北見花芽愛用のくずし字辞典です。

 

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