一行は神田明神に参詣します。
今回は右ページの文章を中心に解説します。
【左右ページ全体】
【右ページ詳細】
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像は拡大できます。
【原文】
桜田御門より入りて、和田倉御門《わだぐらごもん》を出、常盤橋御門《ときハばしごもん》を本町筋《ほんてうすじ》へ出て、十軒店《じつけんだな》より通筋《とをりすじ》を真つ直ぐに、筋違《すじかい》の昌平橋《せいへいばし》を渡り、神田の明神《みやうじん》へ参詣する。
拝殿に宮子《みやづこ》が水洟《みづばな》を垂らし居たるを見て、
狂「水洟《ミづつぱな》 神田《かんだ》[「擤《か》んだ」と掛ける]の宮は お捻《ひね》りの 紙さあでかく 溜《た》まるべいから」
案内
「もし、其処《そこ》へお屋敷の女中たちが来た。
見なせへ、どれもとんだ奇麗《きれい》だね」
延高
「ヤレ、はあ、あの女たちの脳《なづき》さあ見なさろ。
髱張《つとば》りのう首根の方へ沢山《よんこ》へこたれて居申すハ、こりヤァ、脳《なづき》さあへ土器鉢《かわらけばち》のう、おつ被せた様《やう》で御座らァ」
千久羅
「土器鉢《かわらけばち》のう、おつ被つたんべいから、皆《ミんな》、はあ、巡粉木《めぐりこぎ》さあ、好物であんべい。
アレ/\、後《あと》の咳《しやぶ》き居《お》る御御様《ごゞさま》ァ見なさろ。
何《あん》の事《こた》ァ無い、鍋尻餅《なべじりもち》のう、鉄才小槌《かなさいこづち》で拉《ひしや》いだ様《やう》だァ、もし、ハヽヽヽヽ」
案内
「イヤ、お前《めえ》方の言ふ事《こた》ァ、何だか彼《か》だか、さつぱり、私《わつち》らにやァ、知らァヽヽヽヽん、ぱあ」
※方言の部分は赤字にしました。
【現代語訳】
一行は、桜田御門から入って、和田倉《わだくら》御門を出て、常盤橋《ときわばし》御門を本町《ほんちょう》の通りに出て、十軒店《じっけんだな》町の通りを真っ直ぐに進み、筋違《すじかい》御門の横の昌平橋《しょうへいばし》を渡って神田の明神《みょうじん》に参詣しました。
そして、拝殿で、神主が鼻水を垂らしているのを見て、狂歌を一首詠みました。
狂歌
「鼻水が出ても、神田の明神には、お捻《ひね》り[神仏へのお供えを紙で包んでひねったもの]の紙がいっぱいたまってるだろうから、鼻をかむのには困らないだろうなあ」
案内人
「ほら、あそこにお屋敷の女中《じょちゅう》[武家の女性奉公人]たちがやって来た。
ごらんなさい、どなたもとてもキレイだねえ」
鼻毛延高
「ほれ、はあ、あの女たちの頭をごらんなさい、
後頭部の髪が張り出して、首根っこの方まですごく垂れ下がってござる。
これまた、頭にすり鉢を被せたようでござるなあ」
千久羅坊
「すり鉢を被ってるのだから、みんな、はあ、すりこ木が好物なんでしょうな[下ネタ?]。
あれあれ、後ろの咳をしてる奥様をごらんなさい。
なんてことはない、ぼた餅をカナヅチでつぶしたような顔をしてござる、ははははは」
案内人
「いやいや、お前さん方の言ってることは、方言が強すぎて、何だかさっぱり私には分からねえ~~~、ぱあ」
【解説】
田舎者の二人には流行の髪型が理解できなくて、すり鉢を被ってるようにしか見えないようでヾ(๑╹◡╹)ノ"
現代語訳では普通に書きましたが、原文では東北方言満載で書かれています。
散々、二人は参詣している女性をバカにしていますが、東北方言が強すぎたおかげで、案内人や周りの人にはバレなかったみたいで良かったです(笑)
それでは、虎ノ門から神田明神までのルートをどうぞヾ(๑╹◡╹)ノ"
※下の方からご覧ください。
〔江戸切絵図〕 - 国立国会図書館デジタルコレクション
僕も流行りの髪型にしようかなヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
※北見花芽の中の人も少しだけ付録CDで担当しています。
※付録CDに『武太夫物語絵巻』(『稲生物怪録』)が収録されています。
北見花芽愛用のくずし字辞典です。
◆北見花芽のほしい物リストです♪
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪
多くの方に読んでいただきたいので、少しでも拡散してくださるとありがたいです。