神田明神宮②　～『金草鞋』初編中巻～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

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【左右ページ全体】

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【左ページ詳細】

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※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像は拡大できます。

【原文】

水茶屋の女
「もし、お休みなさいまし。
　お茶、上がつておいでなさいまし。

　ヲヤ／＼、あなた、お茶よふ御茶んけいな茶いました。
［ヲヤ／＼、あなた、お早ふ御参詣なさいました］

　茶あ／＼、お上がりな茶いまし。
［さあ／＼、お上がりなさいまし］

　茶て／＼、ひ茶しくお茶づね申しませぬが、お茶わりな茶る事も御茶いませんか。
［さて／＼、久しくお訪ね申しませぬが、お変わりなさる事も御座いませんか」

　わ茶くしハ、茶れ是《これ》い茶して、御無茶汰ばかり。
［私《わたくし》ハ、彼是《かれこれ》致して、ご無沙汰ばかり］

　茶様なら、もふ、お茶入りな茶いますか。
［左様なら、もう、お帰りなさいますか］

　はい／＼、お茶らバで御茶います、茶葉《チヤハ》ヽヽヽヽヽ」
［はい／＼、おさらばで御座います、アハヽヽヽヽヽ（「あはは」という笑い声と掛けていると思われるが、「じゃあ」というあいさつと掛けている可能性もあり）］

参詣
「アノ茶屋の上茶まハ、よく茶べる人だが、さ茶めてどふか、茶い工場の良茶そふな上茶まだ」
［アノ茶屋の上様《かみさま》ハ、よく喋《しやべ》る人だが、定めてどふか、細工場《さいくば》（仕事場のことだが、女性器の隠語としても使われるので、下ネタの可能性あり）の良さそふな上様だ］

一、美満壽國府　畳《たとう》入り　折り詰め
一、福貴艸　同
一、舞靏　同
其の外、品々／＼
右、此《こ》の度《たび》、上品なる國府の選《ゑ》り葉にて、新製仕《つかまつ》り、差し上げ候。
御用向《ごようむき》、仰せ付け被《ら》れ、下され候様《やう》、此の作者ゟ、願ひ上げ奉り候。
龜井町　松塚屋幸右ヱ門

【現代語訳】

水茶屋［茶店・茶屋］の女
「もしもし、休んで行ってくださいませ。
　お茶を飲んで行ってくださいませ。
　おやおや、あなたはお早くご参詣を済まされました。
　さあさあ、お茶を飲んで行ってくださいませ。
　さてさて、しばらくお会いしませんでしたが、お変わりはありませんか。
　私の方も、色々ありまして、ずっとご無沙汰しておりました。
　それでは、もうお帰りなさいますか。
　はいはい、おさらばでございます、あはははは」

参詣者
「あの茶屋のおかみさんは、よくしゃべる人だが、きっとおそらく、仕事が良くできそうなおかみさんだ」

一、美満寿国府　畳紙《たとうがみ》入り、折り詰め［折箱に詰めたもの］
一、福貴草　右に同じ。
一、舞鶴　右に同じ。
そのほか、色々な品々があります。
　右のように、このたび、品質の良い国府の選別した茶葉で、新製品を作りましたので、お売りします。
　ご必要でしたら、仰せ付けくださいますよう、この作品の作者からお願い申し上げます。
　亀井町　松塚屋幸右衛門　

【解説】

　はい、水茶屋のおかみさんと参詣者が「茶」尽くしのダジャレを言っています。
【現代語訳】でダジャレを表現するのは困難なので普通に訳しましたが、【原文】でダジャレの箇所に補足を加えましたのでご参照ください

　で、「茶」尽くしが繰り広げられたのは、その流れでお茶の広告を載せるためでしょうね（笑）
　今だとカフェの動画かなんかを見ていたら、伊藤園の広告とかが流れる感じでしょうか（笑）
　ここに書かれているお茶の種類とかについては、今回は調べきれなかったので、分かり次第追記します。