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※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
諸国道中金の草鞋. 1 - 国立国会図書館デジタルコレクション
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※落書きが酷かったので、可能な限り修正しています。
【原文】
湯島の女坂を下りて、下谷仲町《したやなかてう》の通りを広小路へ出たるに、往来殊に賑ハしく、すぐに上野ゝ御山内に入りて拝見し、「誠に結構」言ふばかり無く、畏《おそ》れ拝ミて、肝を潰し、
狂「上野さあ 見べい/\と おつぴらく 目眼《まめなこ》さあの 魂消《たまげ》申した」
大師の前にて、殊の外、酒に酔《ゑ》ひたる人、往来の者と喧嘩を始めたるに、延高驚き、「逃ぐる」とて、
狂「ちやがれ[下がれ?]はあ かしやしや[鍛冶屋じゃ?] 酒の酔つ払ひ 大師《だいし》様より 笑止《セうし》様だァ」
「コリヤ、はあ、酔つ払ひの愚玉《ぐだま》どもだァ。
ぎづミおつて、悍《おぞ》い奴等だ。
そら、逃げ出来べい/\」
「コリヤ/\、また此方《こち》の野郎めが酒に酔つて騒ぎおるか。
酒《さけ》/\[さて/\]、彼奴《あいつ》めが盃《さかづき》[狼藉《らうぜき》?]にハ、困り果てる。
此の間も、徳利《とつくり》[じつくり? たつぷり?]と意見をしたに、銚釐《ちろり》燗《くわん》[あつけらかん?]として居おつて、もふ/\、湯婆《たんぽ》の皮《かハ》[仏の顔?]七生《しちしやう》までの勘当、子にせずハなるまい。[「銚釐」も「湯婆」も酒を温めるのに用いる容器]
末は薦被《こもかぶ》りになるだろう。
銚子千万《てうしせんばん》[笑止千万]な奴だ」
「コレ/\、酒の酔ひだ、感じなせへ/\」
「この、だりもくりめ。ぶち殺すぞ」
「何だ、ぶち殺す。ぶち殺されべい。
今の娘ハ若い衆《しゆ》を色目で殺《こんろ》す。
やんれいが聞いて呆《あき》れらァ」
「はて、長い呆れ様《やう》だ」
【現代語訳】
一行は、湯島の女坂を下って、下谷仲町《したやなかてう》の通りから広小路に出ると、行き来の人で賑わっていて、すぐにそのまま上野のお山[東叡山寛永寺]の中に入って拝見し、「実に立派だ」としか言いようがなく、かしこまって拝み、たいそう驚いて狂歌を一首詠みました。
狂歌
「上野のお山をしっかり見ようと、目をいっぱい開きましたが、あまりの立派さに目が飛び出るほど驚きました」
両大師堂[開山堂]の前で、すごく酔っぱらった人が、行き来の人とケンカを始めたので、延高は驚き、「逃げよう」と言って狂歌を一首詠みました。
狂歌
「酔っ払いがギャーギャー騒いでケンカをしている。これでは大師様《だいしさま》というより笑止様《しょうしさま》[バカバカしいこと]だなあ」
延高
「こりゃ、はあ、酔っ払いのアホどもだ。
力んでいて怖い奴等だ。
それ、逃げよう、逃げよう」
酔っ払いBの親
「こりゃまた、ウチの息子が酒に酔って騒いでおる。
さてさて、あいつの乱暴な行いには、困り果てておる。
この前も、じっくり説教をしたのに、平気な顔をしておった。
もう、許すことは出来ぬ。この先ずっと永遠の勘当をこの子にせねばなるまい。
今後はホームレスになるだろう。バカな奴だ。
おいおい、酒に酔ったせいだから、いい加減にやめなさい」
酔っ払いA
「この酔っ払いめ、ぶち殺すぞ!」
酔っ払いB
「なんだと、ぶち殺すだと! ぶち殺せるもんか!
『殺す』だなんて、ヤンレイ節[当時の流行歌謡の形態の一つ。心中などを扱った]の『今の娘は若者を色目を使って殺す』って文句みたいで、聞いてあきれるわ」
酔っ払いBの親
「はあ、私はお前(息子)の酒癖の悪さに長い事あきれてるわ」
【解説】
すいません、このページちょっと難解でした。
とりあえず、意味が通るように訳しましたが、よくわからない所がいくつもありましたヾ(๑╹◡╹)ノ"
間違ってたらごめんなさいねヾ(๑╹◡╹)ノ"ヾ(๑╹◡╹)ノ"ヾ(๑╹◡╹)ノ"
で、湯島天神から東叡山までのルートはこちらヾ(๑╹◡╹)ノ"
〔江戸切絵図〕 - 国立国会図書館デジタルコレクション
さて、前回、湯島天神前の陰間茶屋の話をしましたが、湯島天神前の陰間茶屋の主な利用客が上野の東叡山寛永寺の僧侶でした[湯島天神は当時、東叡山の管轄であった]。
寺院は女人禁制なので、女郎遊びはダメですが、男である陰間ならオッケーというわけですヾ(๑╹◡╹)ノ"
上野戦争で寛永寺が大打撃を受けたため、湯島の陰間茶屋も衰退して消滅したという事です。
※参考文献―岩田準一『本朝男色考』、花咲一男『江戸のかげま茶屋』
ちなみに、絵師の月岡芳年は、上野戦争の現場に行って、遺体をスケッチしたんだって!
なんでそういう情報には詳しいんだよ!
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