※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
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【原文】
上野の御山内《ごさんない》、残らず拝見し、それよりすぐに不忍《しのばず》の弁天へ参る。
狂「爰《ここ》さあハ 女神《おんながみ》とて 弁天の 前にでつかい 蓮池《はすいけ》がある」
此の境内《けいだい》を悉《こと/゛\》く参り、広前《ひろまへ》の絵馬に蛇《くちなわ》のぬたくり居たる絵を見つけて、
狂「おつかない 弁天様が 蛇ならバ 裏返《うらがへ》る[「蛙」と掛けた。「オラ帰る」とも掛けたか]べい ぴよこり/\と」
参詣
「物の理屈と言ふ物ハ、良くした物だ。
男が手足をぐつと広げて伸ばした所を大の字と言ふが、大の字でハ無い。
金玉と言ふ物が有るから、男ハ太の字、大の字と言ふのは女の事だ。
その女の大の字に、頭《つむり》の笄《かうがい》の一点を加へて、天の字になるから、そこで女神だから、弁天と言ひやす」
「それハ聞へましたが、男を太の字ハ合点が行かぬ。
男ハ皆、木の字で御座る物を。
それだから、木男《きをとこ》だの木息子《きむすこ》だのと言ひやす」
【現代語訳】
一行は、上野の東叡山を残らず拝見し、それからすぐに不忍池《しのばずのいけ》の弁天堂に参詣しました。
狂歌
「ここには女神様が祭られているというので、なるほど弁天堂の前には大きな蓮池があるわけだ[蓮池を女性器にたとえたか?]」
弁天堂の境内を全て参詣し、前庭で蛇がくねってる絵が描かれた絵馬を見つけて、狂歌を一首詠みました。
狂歌
「恐ろしい事だ。弁天様が蛇ならば、オラは驚いてカエルみたいにピョコピョコと引っくり返るべ[弁天は蛇の化身とされることがある]」
参詣者A
「物の道理というものは、よくできている。
男が手足を伸ばした姿を「大の字」と言うが、実は「大の字」ではない。
男の股にはキャンタマというものがあるから、キャンタマの一点を加えて、男は「太の字」というのが正しく、「大の字」は女のことだ。
その女の「大の字」に、頭の髪飾りの一点を加えると「天の字」になるので、女神である「弁天」には「天の字」が使われているのです[潜女神《かづきめのかみ》の俗名が「弁」だったこともふまえるか]」
参詣者B
「それは分かったのだが、男を「太の字」というのは、納得がいかない。
なにしろ、男は皆、「木の字」だから。
だから、「木男」やら「木息子」[「木男」も「木息子」も「ウブな男」のこと]だとか言うのです」
【解説】
挿絵の池の部分が文字で埋め尽くされていますね。
載せるまでもないと思うのですが、一応、寛永寺から不忍池のルートヾ(๑╹◡╹)ノ"
〔江戸切絵図〕 - 国立国会図書館デジタルコレクション
さて、初編の中巻がここで終わりなので、そろそろ飽きてきたこともありますし、『金草鞋』は一旦お休みします。
気が向いたら再開するかもしれないし、しないかもしれませんヾ(๑╹◡╹)ノ"
誰? 僕のことを「禿の字」って言ったのは!
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