※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
放《ひ)り掛けおつた」と、「我も/\」と追い掛け行く。
狐も「此処《こゝ》を大事」と駆け行けど、四足《しそく》を痛められける故《ゆへ》、道 捗行《はかゆ》かず、血気盛んの坊主共に追い立てられ、最早 敵《かな》ハねば、「如何《いかゞ》せん」と傍《かたわ》らを見れ、草村《くさむら》有り。
「此処こそ天の引き合わせ」と、草村へ掛け入れバ、ふくさいひよつくりと草村より出る。
「此《こ》ハ敵わじ」と逃げんとするに、後《あと》よりハ「追い来たる先へ」とてハ行かれじ。
「如何」と思案落ち着かず、漸《よう/\》と思ひ付き、茶釜と身を引き変へける。
間も無く、追つ掛け、草村を「此処よ、其処《そこ》よ」と捜せ共、狐の形は見へもせず。
ぶんぶくハきつと見て、「是に見事な茶釜有り、せめての代ハ
「ぶんぶくや、待ちや。此奴《こいつ》が耳を切つてくりや。黒焼きにして疝気《せんき》に用ひやう」
「ならバ、尻尾《しつぽ》を切つて売るべい。さあ、どれから切るべいの」
「ならバ、其奴《そいつ》の目玉を取るべい」
狐、空死《そらじ》に。生きたる心無し。
「迷子《まへご》の狐やい。ふくさい、どつちへ逃げおつた、見へぬか」
「是ハ良い釜じや」
「ふくさい、何と金儲《かねまう》けか」
「その茶釜ハ俺が見つけたぞ。ぶんぶくが物だ。手を付けるな」
【現代語訳】
[本文]
坊主たちは、
「どこへも逃がさんぞ! 憎っくきキツネめ! おまけに屁までひっかけやがった!」
と「俺も、俺も」と四人でキツネを追っ掛けました。
キツネも「ここで逃げ切らないと助からない」と走りますが、四歩足を痛めつけられたので、上手く道を進むことが出来ません。
血気盛んな坊主たちに追い掛けられて、もはや対抗できそうにないので、「どうしよう」と横を見ると、草むらがありました。
「これは神が手引きしてくれたに違いない」
と、草むらに入ると、ふくさいがひょっこりと草むらから出てきました。
「こりゃたまらん」と逃げようとしましたが、後ろからは「この先にいるぞ」と追っ掛けてくるので、逃げる事ができません。
「どうしよう」と、ドキドキしながら考えて、やっと思い付いて、茶釜に変身しました。
すぐに追っ掛けてきた坊主たちが草むらを、「ここだ、あそこだ」と捜しましたが、キツネの姿は見えもしませんでした。
すると、ぶんぶくが、何かを見つけました。
「ここに見事な茶釜がある。せめて代わりに
[右図]
ふくさい「ぶんぶくや、お待ちなさい。こいつの耳を切ってくれ。黒焼きにして疝気《せんき》[下腹部の病気]の薬にしよう」
ぶんぶく「ならば俺は、シッポを切って売ろう。さあ、どこから切ろうかの」
ぶんざい「ならば俺は、そいつの目玉を取ろう」
キツネは死んだふりをして、生きた心地がしません。
[左図]
ぶんざい「迷子のキツネや~い。ふくさい、キツネはどっちへ逃げた? 見えないか?」
ふくさい「これは良い釜だ」
ふくあん「ふくさい、これは金儲けになるな」
ぶんぶく「その茶釜は俺が見つけたんだぞ! ぶんぶくの物だ! 触るな!」
【解説】
キツネは逃げ出しますが、縛られて足を痛めてしまったので、思うように走れません。
茶坊主はあり余る体力で、四人がかりで追い掛けてきます。
キツネがなんで草むらを見つけて喜んだかというと、もちろん、草むらに隠れることが出来るからですが、草むらにはもう、ふくさいがスタンバっていました。
しかし、当たり前のことですが、草むらには草があるのです。
そう、最初のページにあったように、このキツネが変身に使うアイテムは草です。
そして、みなさま、お待たせしました、ここでキツネは茶釜に変身します!
このままスルーされれば良かったのですが、見事に化けすぎたのか、ぶんぶくに見つかった茶釜は拾われてしまうのです。
僕はキツネの目玉より蚊の目玉が食べたいなヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆北見花芽のほしい物リストです♪
5月3日は北見花芽の誕生日ヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
※北見花芽の中の人も少しだけ付録CDで担当しています。
※付録CDに『武太夫物語絵巻』(『稲生物怪録』)が収録されています。
北見花芽愛用のくずし字辞典です。
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪
多くの方に読んでいただきたいので、少しでも拡散してくださるとありがたいです。