『赤本再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊]
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
赤本花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション
花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
①慳貪爺ハ、枯れ木より引き降ろされ、半死半生に打擲《てうちやく》され、血《ち》だらけになりて戻りければ、慳貪婆ハそれとも知らず、戻りを待ち侘《わ》びて門口に立ち居けるが、遠目に見て大きに喜び、「此方《こち》の爺殿《ぢゞいどの》も、赤地の錦着て戻らしやつたげな」と、側近くなるを見れバ、赤地の錦と思ひの外《ほか》、体中、血《ち》だらけなりしかバ、呆《あき》れ惑《まど》ふぞ心地良き。
②「斬るな/\、刀の穢《けが》れぢや、打擲せい」
③「殿様の御目の中へ灰を入れをつたな。己《おのれ》、憎い奴」
④「棟打《むねう》ちにしてくれう」
⑤「此奴《こいつ》、大木の生え際、太い根と来ている」
⑥「覚へたか/\」
⑦「踏み殺しても飽き足らぬ爺めぢや」
⑧「あゝ、痛い。御免《ごめん》/\。命ハ助けて下されませ。苦しや/\」
【現代語訳】
①慳貪じじは、枯れ木から引きずり降ろされ、死にそうになるくらいボコボコに殴られ、血だらけになって帰りました。
慳貪ばばは、そうとも知らず、帰りを待ちわびて家の前で待っていましたが、慳貪じじの姿を遠くに見て、「うちのジジイ殿も、赤地の錦の羽織を着て戻らっしゃった」と、とても喜びました。
しかし、近くまで来たのを見ると、慳貪じじが体中血だらけになったのを、赤地の錦と勘違いしたと分かり、慳貪ばばは驚いてうろたえました。
ざまあみろですね。
②殿様「斬るな、斬るな! そんな奴を斬っては刀が穢《けが》れる。ぶん殴れ!」
③家来A「殿様の目の中によくも灰を入れやがったな! おのれ!憎い奴め!」
④⑤家来B「峰打ちにしてやる! こいつは、大木の生え際の根みたいに図太い神経をしてやがる」
⑥⑦家来C「思い知ったか! このジジイは、踏み殺しても物足りないくらいじゃ」
⑧慳貪じじ「ああ、痛い。ごめんなさい、ごめんなさい。命は助けてくださいませ。苦しい、苦しい」
【解説】
本当なら殺されてもおかしくないのですが、斬る価値もないという殿様の判断で、何とか命が助かったのはラッキーなのか、はてさて。。。
血だらけになったのを赤い服に見立てるのは、「赤いちゃんちゃんこ」という怪談を思い出しました。
さて、まだこのお話は終わりませんよ! 次回は、慳貪夫婦の悪心が更にエスカレートします!
ご褒美を赤地の錦の羽織にしたのは、血まみれになった服と見間違えるというギャグ(?)をやりたかったからなのかな?ヾ(๑╹◡╹)ノ"
よし、本当に見間違えるかどうか、三つ目を血まみれにしてみよう!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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