『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」
※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA)
新日本古典籍総合データベース
【原文】
荻原、やをら進みて言ふ様《やう》、
「君帰るさの道の遠きにハ、夜深くして、便無《びんな》う侍り。
某《それがし》の住む所ハ、塵塚《ちりづか》高く積もりて、見苦しげなる荒《あば》ら屋なれど、便《たよ》りに付けて明かし給ハゞ、宿貸し参らせむ」
戯《たハぶ》るれバ、女、打ち笑ミて、
「窓漏る月を一人詠めて明くる侘《わび》しさを、嬉しくもの給ふ者かな。
情けに弱るハ人の心ぞかし」
とて、立ち戻りければ、荻原喜びて、女と手を取り組ミつゝ、家に帰り、酒取り出し、女の童に酌《しやく》を取らせ、少し打ち呑《の》み、傾《かたぶ》く月に理無《わりな》き言の葉を聞くにぞ、「今日を限りの命ともがな」と、兼ての後ぞ思ハるゝ。
荻原、
「また後の 契りまでやハ 新枕《にゐまくら》 たゞ今宵にそ 限りなるらめ」
と言ひければ、
【現代語訳】
荻原は、そっと進み出て、
「あなたの帰り道は遠いようですので、こんなに夜遅くだと、色々大変でしょう。
私の住む家はゴミの山が高く積もって、お見苦しいボロ家ですが、もし私を信頼して、一緒に夜を明かしてくださるのなら、宿をお貸ししましょう」
と下心を少し出して言いました。
女は微笑んで、
「窓から漏れる月の光を一人で眺めて、夜を寂しく明かさなければならないと思っていましたが、一緒に過ごして下さるとは、嬉しい事をおっしゃってくださいます。
このような情けに弱いのが、人の心というものです」
と言って、荻原のいる方へ戻ってきました。
荻原は喜んで、女と手に手を取りつつ、家に帰りました。
酒を取り出して、女の童にお酌をさせ、少し呑みながら、女のなんとも愛らしい言葉を聞くにつけて、荻原は、
「もう今日で命が尽きても良いくらい幸せだ」
と思いつつ、この先のことも色々と考えるのでした。
そして、荻原が、
「私たちが初めてチョメチョメしたとしても、今夜限りのことで、また会う約束をすることもないのでしょうね」
と詠むと、
【解説】
あらあ、荻原さん、美女をお持ち帰りしてしまいました。
これ以上、深い仲にならない方が身のためだとは思うのですが、こうなったらもう、そうはいかないのでしょうなあ。
僕と一緒に一晩過ごしてくれたら、蚊の目玉酒をふるまうよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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