『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」
※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA)
新日本古典籍総合データベース
【原文】
急ぎ行きて、頼ミ参らせよ」
と言ふ。
荻原、彼処《かしこ》に詣でゝ、對面《たいめん》を遂げしに、卿公《きやうのきミ》仰せける様《やう》、
「汝ハ、化け物ゝ氣に精血《せいけつ》を耗散《がうさん》し、神魂《しんこん》を昏惑《こんわく》せり。
今十日を過ぎなバ、命ハ有るまじき也」
と宣《のたま》ふに、荻原有りの儘《まゝ》に語る。
卿公《きやうのきミ》、則《すなハ》ち符《ふ》を書きて与へ、門《かど》に押させらる。
其れより女、二度《ふたたび》来たらず。
五十日バかりの後に、或る日、荻原、東寺に行《ゆ》きて、卿公《きやうのきミ》に礼拝して、酒に酔《ゑ》ひて帰る。
流石《さすが》に彼の女の面影恋しくや有りけん、万寿寺の門前近く立ち寄りて、内を見入れ侍りしに、女、忽《たちま》ちに前に現れ、甚《はなは》だ恨ミて言ふ様《やう》、
「此の日頃契りし言の葉の、早くも偽りになり、薄き情《なさ》けの色見えたり。
【現代語訳】
急いで行って、なんとかならないかお頼み申せ」
と教えました。
荻原は東寺に参詣して、卿公《きやうのきミ》との対面を果たしました。
卿公は、
「そなたは、化け物の悪い気によって、活力や精力を消耗してしまい、心や魂を惑わされてしまった。
あと十日遅かったら、命はなかったであろう」
とおっしゃったので、荻原は、ありのまま全てを話しました。
卿公はすぐに、守り札《ふだ》を書いて荻原に与え、家の門に貼らせました。
それから、女は二度と来ませんでした。
五十日ほど過ぎたある日、荻原は東寺に行って卿公にお目にかかり、酒を飲んで酔っ払って帰りました。
なんだかんだ言ってもやはり、例の女の顔や姿が恋しくなったのでしょうか、荻原は万寿寺の門前の近くに立ち寄って、寺の中を覗き込んだ所、女が突然目の前に現れました。
そして、とても恨んだ様子で
「近頃、愛を誓い合ったばかりなのに、早くもそれを無いものにするとは、なんとも薄情ではありませんか。
【解説】
卿公が書いたお札を家の門に貼ったら、女は来なくなり、荻原さんは命拾いをして、めでたしめでたしヾ(๑╹◡╹)ノ"
と思いきや、いやあ、荻原さん、酒のせいとはいえ、油断してしまいましたねえヾ(๑╹◡╹)ノ"
万寿寺の門前は、荻原さんの家ではないので、お札の効力はないんですよねえ。
荻原さんの前に現れて恨み言を言う弥子《いやこ》さん、はたして荻原さんの運命はいかに?
次回、最終回です!!!
ねえねえ、なんで僕のおでこにお札を貼るの?
いや、効果があるかなと思って。。。
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