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[16]ついに采女のラブレターが頼母の手に渡るのでした ~『男色義理物語』~

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 【前回のあらすじ】

 恋の仲立ちをすることにした内蔵之助は、采女に頼母へのラブレターを書かせ、内蔵之助は頼母に采女のラブレターを渡すチャンスをうかがいます。

 

 【初めての方へ】

 原典の画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳と解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 スマホでご覧の方へ】

 諸事情により、PC版と同じデザインになっています。なるべくスマホでも読みやすいようにはしているのですが、もし、字が小さいと感じた場合は、スマホを横にして拡大すると読みやすいと思います。


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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。

 

【原文】【現代語訳】

 誠に枝も撓《たはゝ》に咲き乱れたり。
 実に木の枝には、花がたくさん咲き乱れています。

 緩《ゆる》らかに打ち吹く朝明《あさけ》の風に、えならぬ香《か》より〈香をり〉、
 ゆったりと吹く明け方の風に乗って、何とも言えない良い花の香りが漂《ただよ》ってきます。

 其の人の香《か》をりも吹き合ふて、心ときめくばかりなるに、
 その花の香りが頼母の香りと吹き合わさって、胸がドキドキします。

 側《そば》に有りける琴引き寄せて、鶯《うぐひす》の囀《さへず》りと言ふ調《しら》べを掻《か》き鳴らし、
 頼母はそばにあった琴を引き寄せて、「鶯《うぐいす》の囀《さえずり》り[「春鶯囀《しゅんのうでん》」のことか]という曲を弾きました。

 自《みづか》ら花の下《もと》に立ち寄りて、
 そして、自分から進んで花の下に立ち寄り、

「朝露ハ 其のまゝ匂ふ 花の上《うへ》に〈花の上〉 心乞《こゝろこ》ふべき 春風も無し」
「朝露はこぼれることなく、花の上にとどまって香りを放っています。
 思いを寄せたくなるような春風も吹かないので」
(=私には恋する相手もいないので、一人寂しく過ごすしかありません)

 と見渡したる顔付き、又類《たぐひ》も無《な》ふ、如何《いか》なる仇敵《あだがたき》もうちへまかべく〈打ち笑《ゑ》まるべく〉、
 と詠んで、辺りを見渡しました。
 その顔付きは、この上も無いほど美しく、どんな憎い相手であったとしても、思わず笑みをこぼしてしまうでしょう。

「哀れ、人の心を悩ましゝも理《ことはり》に過ぎたる」
「ああ、なるほど、人の心を悩ました理由が、分かりすぎるほど分かりました」

 と、仲立ちも覚えず心迷ゑるなるべし。
 と仲立ちの内蔵之助も思わず心を惑わすほどでした。

 折柄《をりから》、異人《ことひと》も無く、過ぎがてに彼《か》の消息《せうそく》、袖の内へふと押し入れけれバ、
 ちょうど、ほかに人もいなかったので、内蔵之助は、通り過ぎざまに例の手紙を、頼母の袖の中にふと押し入れました。

 此の人、其処等《そこら》おゝめがしう〈おぼめかしう〉持て成《な》し、
 頼母は、そこは何事もなかったかのように振る舞いました。

 庭の木立《こだち》の木繁《こしげ》き中に忍び入りしハ、文見んための心当てなるべし。
 そして、庭の木立が茂っている中に、こっそり入っていったのは、この手紙を見るためでしょう。

 漸《やゝ》有つて仲立ちを招き寄せ、否《いな》ミの事ハ侍らで〈否諾《いなせ》の事は言ひ侍らで〉、
 しばらくしてから、頼母は仲立ちの内蔵之助を招き寄せ、采女の思いを受け入れるかどうかの返事は言わないで、

「我にし悩む人にし有らバ、急ぎ宮仕《ミやづか》ひにも出し給へ。
「私のせいで悩んでいる人であるのなら、すぐに出勤させてください。

 然無《さな》くてハ、物言ひ性《さが》憎き世の中、
 ただでさえ、無責任に悪い噂をたれ流されるような世の中です。

 散りがての花にも風の咎《とが》多き世の様」
 なにしろ、自然に花が散る事でさえ、風の責任にするようなことが多くありますから。(=ずっと寝込んでいては、どんなあらぬ噂を流され、変な疑いを掛けられるかわかりません)
[「春深み 枝も動かで 散る花は 風の咎には 有らぬなるべし」(西行山家集』)を踏まえるか]


 と言ひ捨て、奥深く紛れ入りぬ。
 と言い捨てて、どこか奥深い所に紛れ込んで行きました。

 仲立ち急ぎ帰り、始め終はりの事、然々《しか/゛\》と語り出して、
 仲立ちの内蔵之助は急いで、采女の所に戻り、先ほどのやりとりの一部始終を詳しく話しました。

「如何様《いかさま》彼方《あなた》[貴方?]にも、人目《ひとめ》[一目?]バかりを思ふと見へたり。
「いかにも、あの人(=頼母)は、人目を気にしているようです。


 【解説】

 内蔵之助は頼母が一人でいるチャンスを見逃さず、手紙を渡すことに成功します。

 頼母は、手紙を読むと、返事は保留して、このまま寝込んでいると怪しまれるので、釆女に職場復帰させるように指示します。

 急いで帰って内蔵之助は采女に報告しますが、はてさて、二人の恋の行方はいかに?
 次回に続く!



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