うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

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[29]のんびり采女さん ~『男色義理物語』~

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 【前回のあらすじ】 式部側の使者である浦上図書の抗議により、唐橋侍従はどうとう頼母に切腹を申し付けるのでした。
 一方、頼母と恋仲の采女は、母と会うために休暇を取って品川の辺りに滞在していました。

 

 【初めての方へ】 原典の画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳と解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 スマホでご覧の方へ】 諸事情により、PC版と同じデザインになっています。なるべくスマホでも読みやすいようにはしているのですが、もし、字が小さいと感じた場合は、スマホを横にして拡大すると読みやすいと思います。


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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。

 

【原文】【現代語訳】

 浦湊《うらみなと》に音 次《すが》ふ[凄《すご》ふ?]浪、只《たゞ》此処許《こゝもと》に寄せ来る心地して、光源氏の詫《わ》び給ひし須磨《すま》の浦回《うらハ》の昔迄思ひ出ださるるゝに、
 海辺に大きな音で次々と寄せている波が、自分の方まで寄せてくる心地がして、光源氏が詫び住まいをした須磨の浦の昔を思い起こします。

 彼方《かなた》の賤《いや》しの家/\に謡い物して糠搗《ぬかつ》く音も聞こゆ。
 いと山家《さんか》めきて又おかし。
 あちらの貧しい家々では、謡いながら米を搗《つ》く音が聞こえ、いかにも山の中の家らしくて、これもまた風情があります。

 此方《こなた》の寺/゛\には、鐘打ち鳴らして読経《どくきやう》の聲も耳《みゝ》に留《と》まりて、夜に増し〈世に又〉尊し。
 こちらの寺々では、鐘を打ち鳴らして読経をする声が聞こえて耳に残り、これはまたとてもありがたいものです。

 漸《やうや》く十八夜[『藻屑』では「十七夜」]の月も西に傾《かたぶ》き給ふに、旅立《たびだ》つ人幾《いく》らと言ふ数を知らず。
 ようやく十八夜の月も西に傾いて、旅立つ人が数えきれないくらい現れます。

 駒《こま》もとゝろと踏ミ鳴らし、行《ゆ》き違ふ馬の上よりいと眠《ねぶ》た気《げ》なる聲して、
 馬もゆっくりと足を踏み鳴らし、行き違う馬の上からはとても眠たそうな声で、

「疾《と》くやれ、まだ夜明けぬ先に」
「早くしろ、まだ夜が明ける前に」

 など言ふに、馬方打ち訛《なま》りたる声色《こハいろ》にて、
 などと言う客の声が聞こえ、馬方は訛《なま》った声の調子で、

「お旦《だん》〈お旦那〉構ひて眠《ねぶ》り給ふな、そりや橋じやのびて〈のひて〉河原毛《かハらけ》」
「お客様、身構えてお眠りにならないでくだされ。
 そりゃ、橋じゃ、そこの河原毛の馬はどいてくだされ」[?]


 など言ひ/\、とろり/\と馬追い掛けて「春は御《ご》させ[御座せ?]」など聲 艶《なま》めかしう謡《うた》ひつるゝ。
 などと言いながら、ゆっくりと馬を追いかけて「春がやってきなさった」などと、なまめかしい声で謡います。

「哀れ諸共《もろとも》に見もし見へばや、ときハ〈一際《ひときは》〉の詠《なが》め事ならん。
「ああ、これらの光景を、頼母殿と一緒に見ることができたなら、一層すばらしい眺めでしょうなあ。

 誠に一日見へず三秋《さんしう》の如しと言ひ置きしも、実に理《ことわり》に」
 一日三秋《いちじつさんしゅう》(一日会わなかっただけで、三年も過ぎ去った気がする)と言い置きしてきましたが、まさに体感しております」

 など思ひて少し微睡《まどろ》むに、頼母なりける人の上、いと本意無《ほいな》ふ幻に見へて、汗《あせ》しどろに夢覚めぬ。
 などと思って采女はまどろんでいると、頼母という人の身の上に起こったことが、思いがけず幻影として見えてきて、汗まみれになって夢から覚めました。

夢現《ゆめうつゝ》蜻蛉《かげろふ》の[『藻屑』では「如夢現泡影」]、世に徒《あだ》めきて言ゝ触れし事なれども、若き人/゛\の交わりには、高きも卑《いや》しきも皆、深き渕《ふち》に向かひて薄氷《はくひやう》を踏む如く、いと危うく冷やゝかなる事のみぞ多けれバ、
「夢幻泡影《むげんほうよう》(人生は、はかない)と、世間ではやたらと言われていますが、若い人々の交わりは、身分が高い者も低い者もみな、深い淵に向かって薄氷を踏むように、たいそう危うく冷酷なことばかりです。



 【解説】

 屋敷での大騒動を知らず、品川の辺りでのんびりと過ごす釆女さん。

 しかし、頼母の身に起こったことを夢で見て目を覚まします。

 はてさて、このあとの釆女さんの動向が気になる所ですが、次回に続くヾ(๑╹◡╹)ノ"



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 ねえねえ、北見花芽は僕を夢で見たりしないの?ヾ(๑╹◡╹)ノ"


 昨日、三つ目が拾い食いしたラッキョがあたって苦しんでいる夢を見たんだけど、正夢になるといいなあヾ(๑╹◡╹)ノ"


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