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[39]内蔵之助はあっさりと。。。 ~『男色義理物語』~

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 【前回のあらすじ】 内蔵之助は、頼母と采女の仲立ちであり、かつて采女と契りを交わした仲にも関わらず、なかなか追い腹を切ろうとしないので、皆に責められます。

 

 【初めての方へ】 原典の画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳と解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"

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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。

 

【原文】【現代語訳】

 彼の内蔵之助、人より先立たつて、
 例の内蔵之助は、人よりも先に、


「睦《むつ》まじく 成りにし人を 先立てて 闇路《やミぢ》に迷う 身を如何にせん」
「仲睦《なかむつ》まじくなった人(采女)を先立たせてしまい、闇の道に迷ったような心境になった私の身は、どうすればよいのでしょうか」
 と詠みました。


 と有る哥の脇に返しと思しくて、詠み人知れず、
 すると、その歌の横に返歌だと思われる歌が、誰かによって詠まれました。

「身を如何に せんと思はゞ 腹を切れ 誰も此の卋に 留《と》まるでも無し」
「その身をどうすればよいのか考える暇があるなら、さっさと腹を切れば良いではないか。
 この世にずっと留まっている者などいないのだから」


 等《など》打ち当てゝ嘲《あざけ》り侍る事、
 などと、皆、あからさまに内蔵之助をバカにしました。

 大殿も仄《ほの》聞かせ給へども、如何思し召し給ひけん、常つね/゛\に変はらず召し使ハれけるに、
 この事は、なんとなく大殿(唐橋侍従)もお聞きになったようなのですが、どう思われたのでしょうか、いつもと変わらず内蔵之助を召し使われました。

 内蔵之助如何に面強《おもてつよ》く生まれ付きたれども、堪《たま》り得《ゑ》ず、
 内蔵之助は、いかにも面の皮が厚く生まれ付いたのですが、さすがに耐えることができず、

「斯《か》く人/゛\に持て囃《はや》されてハ、大殿の御耳にも立ちなむ。
「このように人々に悪い噂を広められてしまったら、そのうち大殿の御耳にもお入りになるだろう。

 然《さ》有らバ憂き目に逢《あ》ひて、命を失ハんハ、目の前なるべし。
 そうなったならば、処罰を受けて、すぐに命を失うことになるだろう。

 事広ふ成《な》らぬ先に、人の国へ隠れれ行きて、身一つを安らかににや」
 事がこれ以上大きくならないうちに、他国にこっそり逃げて、身の安全を確保しよう」

 と思ひて、其の夜、人静まりて書院の矢切《やぎり》の窓《まど》を引き離して、ふためき合へるを、
 と思い、その夜、人が寝静まった頃、屋敷を抜け出そうと、書院の忍び返しが置かれた窓を無理やり外して、バタバタと音を立てました。

「睫《まつげ》〈蚊の睫〉の落つるをも聞きつらん」[『枕草子』より]と殿居守《とのゐもり》の人/゛\共打ち寄りて、ひた/\と抱《いだ》き止め、
 すると、「蚊のマツゲが落ちる音さえ聞き逃すまい」としている宿直の家来たちが気づいて集まり、あっという間に内蔵之助の身柄を確保しました。

 後《のち》大殿の御耳に入れぬれバ、兎角《とかく》の事ハ宣《のたま》ひも敢《あ》えず、「急ぎ斯くせよ」と仰せ出されけれバ、「畏《かしこ》り候」とて、若き者共押し伏せ縄を掛けて、其の夜朝草にて斬られ侍るとなん。
[内蔵之助処刑のエピソードは、『雨夜物語』ではもう少し長く書かれ、内容もやや異なる]
 それから大殿にご報告すると、あれこれおっしゃいもせず、「さっさと処せよ」と仰せになったので、家来は「かしこまりました」と言って、若い者たちが内蔵之助を押し伏せて縄を掛け、その夜の内に内蔵之助は浅草で斬られました。

※『男色義理物語』は、誤字がとても多いので、明らかな誤字は〈〉で修正してます。


 【解説】

 悪い噂が広められた内蔵之助は、処罰されないうちに他国に逃げようとしましたが、あっさりと捕まり、その夜のうちに処刑されてしまいました。。。
 そういえば、もう一人、この事件に関わった人物がいましたよね???

 えっとですねえ、この当時の男色がどういうものか説明しなきゃいけないと思いながら、タイミングをずっと逃していたんですけど、もう次回が最終回になっちゃうんで、今更ながらですが、簡単に説明しておきたいと思います。

 当時の男色関係は、年長者と年少者の組み合わせが基本でした。
 年長者を念者または兄分と言いい、年少者を若衆または弟分と言いました。
 男色関係はずっと続くわけではなく、弟分がある程度の年齢になると、男色関係は解消され、兄分は弟分の後見的な立場となり、妻を持つことも可能になります。
 そして、弟分が今度は兄分となり、新たに弟分を持つことになります。

 なので、このお話の場合は、釆女も十八歳で、弟分を持ってもおかしくない年齢であったので、内蔵之助も折れて後見的な立場となり、頼母との仲立ちをしたわけです。
 そして、内蔵之助の弟分であった采女は、今度は頼母の兄分となったのです。


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 あれ?三つ目がこの家を抜け出したって聞いたけど?ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 違うよ、毛が抜け出しただけだよヾ(๑╹◡╹)ノ"


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