今回から第三章が始まります。




『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]
好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】【現代語訳】
雪の夜の情け宿[男女が密会に使う宿]
雪の夜のチョメチョメ宿
油断《ゆだん》のならぬ世の中に、殊更《ことさら》見せまじき物ハ、道中の肌付《はだつ》け金《がね》、酔《ゑ》ひに脇指《わきざし》、娘《むすめ》の際《きハ》に捨《す》て坊主《ぼうず》、
油断のならない世の中で、特に見せてはいけないものは、旅行の時に肌身に付けた金、酔っ払いに脇差、娘の側に世捨て坊主です。
と御寺《ミてら》を立《た》ち帰《かへ》り、其の後ハ厳しく改《あらた》めて、恋を裂きける。
お七には吉三郎を見せてはならないということで、お寺での避難生活から帰ってからは、お七の母親は厳しく監視して、二人の仲を裂いたのでした。
然《さ》れ共《ども》、下女が情けにして、文《ふみ》ハ数通《かずかよ》ハせて、心の程《ほど》ハ互《たが》ひに知らせける。
しかし、下女が情けを知った者であったので、お七と吉三郎は何通も手紙のやりとりをすることができ、お互いの気持ちを知らせ合ったのでした。
有る夕《ゆふ》べ、板橋近き里《さと》の子《こ》と見えて、松露《せうろ》、土筆《つく/゛\し》を手篭《てかご》に入れて、世を渡る業《わざ》とて、賣《う》り来たれり。
お七 親《おや》の方に買《か》い留《と》めける。
ある日の夕方、板橋近くの里の子と思われる者が、松露《しょうろ》[キノコの一種]と土筆《つくし》を手籠に入れて、生活費を稼ぐために売りに来たので、お七の親の店で買い取りました。
其の暮《くれ》ハ、春ながら雪《ゆき》降り止まずして、里まで帰る事を嘆きぬ。
その夕暮れは、春というのに雪が降りやまず、里の子は、里まで帰るのが困難だと嘆きました。
亭主《ていしゆ》憐《あハ》れみて、何心も無く、
「つゐ庭《には》の片角《かたすミ》に在《あ》りて、夜明《よあ》けなば帰れ」
亭主(お七の父親)はかわいそうに思い、何となく、
「ちょっとばかり土間の片隅で過ごして、夜が明けたら帰りなさい」
と言いました。
と、言はれしを嬉しく、牛房《ごぼう》、大根《だいこん》の莛《むしろ》片寄せ、竹の小笠に面《おもて》を隠し、腰蓑《こしミの》身《ミ》に纏《まと》ひ、一夜を凌《しの》ぎける。
里の子は嬉しく思い、ゴボウや大根を並べた莚《むしろ》を横に寄せて、竹の小笠で顔を隠し、腰蓑《こしみの》を体にまとって、一晩をしのぐことにしました。
嵐《あらし》枕《まくら》に通ひ、土間《つちま》冷へ上がりけるにぞ、大方ハ命《いのち》も危うかりき。
夜嵐が枕元に吹き付けて、土間は冷え切っているので、里の子は、かなり命が危うい状態になりました。
次㐧《しだい》に息《いき》も切れ、眼《まなこ》も眩《くら》みし時、お七 声《こゑ》して
だんだん息も苦しくなり、意識を失いそうになった時、お七の声がしました。
「先程《さきほど》の里の子哀れや、せめて湯成共《ゆなりとも》吞《の》ませよ」
「さっきの里の子がかわいそうだから、せめて湯でも飲ませておあげ」
と有りしに、食燒《めした》きの梅《むめ》が、下《しも》の茶破《ちやわん》に汲《く》みて、久七に差し出しければ、男《おとこ》請《う》け取《と》りて、是を与へける。
とお七が言ったので、飯炊き女の梅が、使用人用の茶碗に湯を入れて、下男の久七に渡しました。
久七は受け取って、これを里の子に与えました。
「忝《かたじけな》き御心入れ」
「お心遣いに感謝いたします」
と言へば、暗紛《くらまぎ》れに前髪《まへがミ》を弄《なぶ》りて、
と里の子が言うと、久七は暗闇に紛れて、里の子の前髪を触り、
「我も江戸に於《を》いたらば、念者《ねんじや》の有る時分じやが、痛《いた》わしや」
と言ふ。
「お前も江戸に居たなら、念者《ねんじゃ》[男色の兄分]を持つ年頃じゃが、かわいいのう」
と言いました。
「如何《いか》にも淺《あさ》ましく育ちまして、田を鋤《す》く馬の口を取り、真柴苅《ましばか》るより外の事を存じませぬ」
と言へば、
「私はいかにも卑《いや》しく育ちまして、田を耕す馬の口につけた縄を引くことと、柴刈りをすること以外のことは何も知りません」
と里の子が言うと、
足を弄《いら》ひて、
「奇特《きどく》に皹《あかゞり》を切らさぬよ。是なら口を少し」
と口を寄せけるに、
久七は里の子の足を触って、
「里の子にしては珍しく、お前はあかぎれの一つも無いではないか。
これなら、ちょっとばかし、チューをば」
と、口を寄せてきました。
此の悲《かな》しさ、切《せつ》なさ、歯《は》を喰《く》ひ締めて、泪《なミだ》零《こぼ》しけるに、
この時の悲しさ、切なさといったら。。。
里の子は歯を食いしばって、涙を流しました。
【解説】
ようやく、避難所生活が終わって、お七は家に帰ります。
吉三郎との仲は裂かれてしまうものの、下女のはからいによって、なんとか手紙のやりとりだけは続けられています。
そんな時、板橋近くの里(村)の子が、お七の家の八百屋に、野菜を売りに来るのですが、雪がひどくて帰れなくなってしまいます。
お七の父親の情けで、土間で一晩過ごすことを許されるのですが、寒くて死にそうになります。
かわいそうに思ったお七は、飯炊き女の梅にお湯を与えるよう指示し、梅は下男の久七に渡して里の子に与えさせます。
はい、梅さん、まさかの再登場です。
梅さんは寺の使用人じゃなくて、八百屋の使用人だったんですね。
下男の久七は、里の子に欲情して、チューをしようとします。
はい、この時代の作品には、当たり前のように男色描写は出てくるのですよ。
大ピンチの里の子はどうなるのか、というか、この里の子はただ者ではなさそうなのですが、次回に続く!
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ぬふー、僕ならいつでもチューしていいよ~ヾ(๑╹◡╹)ノ"![]()
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