野菜を売りに来た里の子が、雪のために帰れず、お七の父親の情けで、一晩八百屋の土間で過ごすことを許されるのですが、下男の久七が興奮して里の子にチューをしようとします。




『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」[貞享三(1686)年刊、井原西鶴作]
好色五人女 5巻 [4] - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】【現代語訳】
久七、分別《ふんべつ》して、
「いや/\根深《ねぶか》、にんにく喰《く》ひし口中も知れず」
と止《や》めける事の嬉し。
しかし、久七は考え直して、
「いやいや、ネギやニンニクを食べた臭い口かもしれない」
と、チューをするのをやめたので、里の子は嬉しく思うのでした。
其の後、寐時《ねどき》に成りて、下/゛\ハ打ち付け階子《ばしご》を登《のぼ》り、二 それから、寝る時間になったので、使用人は打ち付けハシゴで二階に上り、灯火を薄暗くして寝ました。
主《あるじ》ハ戸棚《とだな》の錠前《ぢやうまへ》に心を付けれバ、
主《あるじ》(お七の父親)は、戸棚の錠前が閉まっているか、しっかり確認しました。
内義[妻のこと]は火の用心 能〻《よくよく》云ひ付けて、猶《なを》娘に氣遣《きづか》いせられ、中戸《なかど》鎖《さ》し固められしハ、恋路《こひぢ》綱《つな》切れてうたてし。
内儀《ないぎ》(お七の母親)は、火の元に気を付けるよう、使用人によく言い付け、さらに娘(お七)を気に掛けて、中戸を厳重に閉めたので、吉三郎との恋路を結ぶ綱が断たれてしまったように感じ、お七はガッカリするのでした。
八つの鐘《かね》の鳴《な》る時《とき》、面《おもて》の戸《と》扣《たゝ》ひて、女と男《おとこ》の声《こゑ》して、
八《や》つ時[午前二時ごろ]を知らせる鐘が鳴る時、表の戸を叩く音がして、女と男(お七の母親の姪の家の使用人)の声がして、
「申し姨様《うばさま》、只今《たゞいま》喜び遊バしましたが、然《しか》も若子様《わこさま》にて旦那様《だんなさま》の御機嫌《ごきげん》」
と頻《しき》りに呼バはる。[「姨」は「母の姉妹(おば)」を意味するので、「姨」はお七の母親の事だと思われ、年齢的に考えるとお七の母親が妹で、女と男はお七の母親の姉の娘(姪)の嫁ぎ先の使用人で、お七の母親の姉の娘(姪)が出産したと思われるが、この辺りの血縁関係はどうもハッキリしない]
「もしもし、叔母《おば》様(お七の母親)、只今、(お七の母親の姪が)めでたくご出産されましたが、しかも男のお子さまで、旦那様(お七の母親の姪の夫)もご機嫌です」
と、何度も叫びました。
家内《いへうち》起《を》き騒ぎて、「其れは嬉しや」と、寐所《ねどころ》より直《す》ぐに夫婦《ふうふ》連《つ》れ立《だ》ち、
家中の者が起きて騒ぎ、「それは、嬉しい事だ」と、寝室からすぐに夫婦(お七の両親)は一緒に出ました。
出様《でさま》に海人草《まくり》、甘草《かんぞう》を取《と》り持《も》ちて、片し/゛\の草履《ざうり》を履《は》き、お七に門の戸を閉めさせ、急《いそ》ぐ心ばかりに行《ゆ》かれし。
出掛ける際に、海人草《まくり》と甘草《かんぞう》[薬草の一種]を手に取って、左右不揃いの草履を履き、お七に門の戸を閉めさせて、あわてて出掛けて行きました。
お七、戸を閉めて帰り様《ざま》に、暮《く》れ方《かた》里《さと》の子思ひ遣りて、下女に「其の手燭《てしよく》待て」とて面影《おもかげ》を見しに、
お七は戸を閉めて帰る時に、夕暮れ時の里の子が気になって、下女に、「その手燭《てしょく》[手持ちの燭台]をちょっと」と、里の子の姿を照らして見ました。
豊《ゆた》かに臥《ふ》していとど哀《あハ》れの増《ま》さりける。
里の子がグッスリ寝ている様子を見ると、お七はいっそう愛《いと》おしさが増しました。
「心良く有りしを、其の儘《まゝ》置かせ給へ」
と下女の言へるを、聞かぬ皃《かほ》して近く寄れバ、
「気持ちよく寝ているので、そのまま寝かせてやってくだされ」
と下女が言うのを、聞こえぬふりをして、お七は里の子の近くに寄りました。
肌《はだ》に付けし兵阝卿《ひやうぶきやう》の香り、何とやらゆかしくて、笠《かさ》を取《と》り除《の》け見れバ、
お七は、里の子が肌に付けている兵部卿《ひょうぶきょう》[匂い袋用のお香の名]の香りに、どういうわけか心が引かれて、笠を取り除《の》けてみました。
止事無《やごとな》き脇皃《わきがほ》しめやかに、鬢《びん》もそゝけざりしを、暫《しば》し見とれて、
気品がある横顔はおしとやかで、鬢《びん》も乱れていないので、お七はしばらく見とれてしまいました。
其の人の年頃《としごろ》に思ひ出だして、袖《そで》に手を差し入れて見るに、淺黄羽二重《あさぎはぶたへ》の下着、
お七は、「あの人(吉三郎)と同じぐらいの年頃だ」と思い出して、袖に手を差し入れてみると、浅黄羽二重《あさぎはぶたえ》の下着[高級下着]を身に着けていました。
「是ハ」と心を留《と》めしに、吉三良殿なり。
お七は、「これは!」と思い、しっかり確認すると、そうです、愛しの吉三郎殿です。
人の聞くをも構はず、
「こりや、何として斯《か》ゝる御姿ぞ」
と、しがミ付きて嘆きぬ。
人に聞かれるのも構わず、
「これは、どうしてこんなお姿で」
と言い、吉三郎に、しがみついて嘆きました。
【解説】
久七は寸前の所でチューを思いとどまって、里の子は難を逃れます。
深夜になって、お七の母親の姪の出産を知らせる使者がやってきたので、お七の両親はあわてて出かけて行きました。
戸締りの帰り、お七は里の子の様子が気になります。
どうも、お七は両親がいない隙《すき》に、里の子に手を出そうとしたのではないかと。
なにしろ、お七は、お盛んな娘のようですからね。
お七がしっかり里の子を品定めすると、なんと、里の子が吉三郎だという事に気づきます!
両親も居ないことですし、これもう、ねえ。
【挿絵】

前に説明を保留した挿絵ですが、この場面を描いています。
土間で寝ている里の子(吉三郎)に近づくお七と、手燭を持つ下女の姿が描かれています。
本文では袖に手を入れるのですが、挿絵では胸元から手を入れていますね。
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