男色には五つの徳あり。　～『男色比翼鳥』巻１の２　その12～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

『男色比翼鳥』巻１の２の続きだよ♪

奥村幸手軒の男色賛美の続きだよ！

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※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

【原文】

す所、我も生を受けてその時、今の智恵有らば、女の乳（ちゝ）は呑（の）むまじ。
摺粉（すりこ）、甘物（あまもの）にて人間育ちたる例（ためし）、数多（あまた）有り。
先づはむさき女無ければ、家内綺麗（きれい）に、月の障（さハ）り等（など）と言へる汚（けが）れたる事、露程も無し。
故（かるがゆへ）に、若道にハ五つの徳有り。
第一、念友汚（きだな）き悪病に身を苦しミ、親子（しんし）、兄弟（けいてい）、親類（しんるい）、他人（たにん）も見限り、身の置（を）き所無きとても、心中良き若衆を持たば、其の若衆身を捨てゝ匿（かくま）ひ、看病する事、是睦（むつ）まじき相拶［挨拶］（あいさつ）忘れぬ故なり。
二つにハ、敵（かたき）持つ身ハ一入（ひとしを）念友は欲しき物ぞかし。
実（げ）にも致契（ちけい）の好（よし）ミあらば、如何（いか）成る遠里（ゑんり）、遠島（ゑんとう）をも、一命（めい）を捨て、後見（うしろみ）と成り、付き添い歩き、本望を遂げたる者、古今に例（ためし）多し。
三つにハ、武士（ぶし）たる者、殊更

【さっくり現代語訳】

全て若衆が美しいからなのです。

私もこの世に生を受けた時から、今のような知恵があれば、母乳など飲まなかったのに。

母乳を飲まなくても、摺粉（すりこ）や甘物（あまもの）で人間が育った例はたくさんありますからね。［このあたりも『男色大鑑』巻１の１を利用］

そもそもむさ苦しい女がこの世にいなければ、家の中はキレイに保たれ、月経などという汚れた事も、全くありません。

なにしろ、男色には五つの良い事があります。

そのイチっ！

兄分がタチの悪い病気にかかってしまい、親や子、兄弟、親類、果ては他人にまで見捨てられ、行き場が無くなってしまったとしても、義理堅い弟分がいれば、何もかも投げ出して、兄分を匿（かくま）って看病してくれます。

これは、仲睦まじく契りを交わした恩を、決して忘れないからです。

そのニっ！

敵（かたき）がいる者は、なおさら兄弟分が必要です。

心から契りを交わした相手がいれば、どんな遠くの里や島にまでも、命を掛けて後見人となって付き添い、敵を捜して歩き回ってくれるのです。

そして、めでたく敵を討つことができた例は、今にも昔にもたくさんあります。

そのサンっ！

武士たる者は、

【解説】

奥村幸手軒の女色ディスりの内容がちょっと酷くて、気を悪くした方がいらっしゃるかもしれませんが、あくまでも江戸時代の大衆小説の内容を、忖度せずにありのままに紹介しております。
北見花芽がこのような考えを持っているわけではありませんので、ご了承くださいませ。

さてさて、「敵（かたき）」という言葉が出てきたということは、ちょっと伏線的なものなのでしょうか？

どちらにしても、奥村幸手軒の話、まだ続くのかよ！