『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」
※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA)
新日本古典籍総合データベース
【原文】
今、汝《なんぢ》ハ、幽陰氣《ゆういんき》の霊と同じく座して、是を知らず。
穢《けが》れて邪まなる妖魅《ばけもの》と共に寝《ね》て、悟《さと》らず。
忽《たちま》ちに真精《しんセい》の元気《げんき》を耗《へ》らし盡しくして、性分《せいぶん》を奪《うバ》ハれ、禍《わざハひ》来たり、病《やまひ》出侍らバ、薬石《やくせき》鍼灸《しんきう》の及ぶ所に非ず。
傳尸癆瘵《でんしろうさい》の悪証《あくしやう》を受け、まだ萌え出る若草の年を老《を》い先長く待たずして、俄《にハ》かに黄泉《よみぢ》の客《きやく》となり、苺《こけ》の下に埋もれなん。
諒《まこと》に悲しき事ならずや」
と言ふに、荻原初めて驚き、恐ろしく思ふ心付きて、有りの儘《まゝ》に語る。
翁聞きて、
「万寿寺《まんじゆじ》の辺《ほとり》に住むと言はゞ、其処《そこ》に行《ゆ》きて尋ね見よ」
と教ゆ。
荻原《おぎハら》、其れより五条を西へ万里小路《までのこうぢ》より此処彼処《こゝかしこ》を尋ね、堤の上、栁の林に行《ゆ》き廻《めぐ》り、人に問へども知れる方無し。
【現代語訳】
今、荻原殿は陰気に満ちた幽霊と一緒に座っているのに、このことを知らない。
穢《けが》れて邪悪な化け物と一緒に寝ているのに、気づいていない。
たちまち活力を消耗し尽くし、精力を奪われて不幸に見舞われるじゃろう。
病気になっても、薬や鍼灸《しんきう》で治ることはないじゃろう。
肺結核のような悪い病気になり、まだ生え出た若草のような年齢なのに、年を重ねるのを待つことなく、すぐに黄泉《よみ》の国へと旅立ち[亡くなってしまい]、苔《こけ》の下[墓の下]に埋もれることになるじゃろう。
なんとも悲しいことじゃ」
と言いました。
荻原はこのことを聞いて初めて驚き、恐ろしく思い始めて、ありのまま全てを語りました。
お爺さんは聞いて、
「万寿寺の辺りに住んでいると言っているのなら、そこに行って尋ねてみなされ」
と教えました。
荻原は、それから五条を西に行き、万里小路《までのこうじ》からアチコチ尋ねて、堤の上の柳の林を歩き回り、色んな人に聞いたのですが、女のことを知る者はいませんでした。
【解説】
このままだと死んでしまうという、お爺さんの話を聞いて、やっと正気に戻ってきた荻原さん。
お爺さんの教えに従って、女の住居を探しに行くのですが、はてさて。
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