うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

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[8]浮気心の証拠を手にして、内蔵之助は再び采女に追求するのです ~『男色義理物語』~

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 【前回のあらすじ】

 采女頼母への思いにして、慰めるのでした。

 

 【初めての方へ】

 原典
画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 スマホでご覧の方へ】

 諸事情
により、PC版と同じデザインになっています。なるべくスマホでも読みやすいようにはしているのですが、もし、字が小さいと感じた場合は、スマホを横にして拡大する読みやすいと思います。



 

 

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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。

 

【原文】【現代語訳】

(「手に鳴らす 哀れ調べを してしかな[得《ゑ》てしがな?]) 恋の乱れの 束《つか》ね緒《を》にせん」
(「あの人が打つ小鼓に使われていて、愛着を感じる調べの緒[鼓を固定する紐]を、なんとか手に入れることができないでしょうか。)
 乱れる恋心を、その調べ緒束《たば》ねたいのです」


 心細げに打ち誦《ずん》じ、其処等《そこら》の畳紙《たたうがミ》の方《かた》に書き留《とゞ》め、
 と心細げ口ずさみ、そこらにある畳紙《たとうがみ》の方に書き留めました。

 或る時ハまた、果無《はかな》くも、其の人の名を、句の上《かミ》に置きて、折句《おりく》の歌、詠ミ綴《つゞ》りて、虚《むな》しく独《ひと》り居《い》の枕の下に、散り積もりしハ、今ハ千束《ちづか》にも成《な》り侍らん。
 ある時はまた、むなしくも、あの人(頼母)の名を、上《かみ》の句に置いて、折句《おりく》の歌を詠んで書き綴《つづ》り、さびしく一人で寝る枕の下突っ込み、それが溜《た》まりに溜まって、今は千束《せんたば》にもなるほどでした。

 斯《か》ゝる嘆《なげ》きの筆遣《ふでづか》ひ、辛《かろ》うじて内蔵之助取り出し、「然《され》バこそ」と独り言《ご》ちして、
 このような采女の嘆きの歌の数々を、内蔵之助枕の下から何とか取り出し「やはりそうか」と、ひとり呟《つぶや》きました。

 或る夜、寝静まりて、彼《か》の内蔵之助、訪《とぶら》い罷《まか》で来て、異人《ことひと》も無く、唯《たゞ》二人、頭《かしら》を突き合ハせ、暫《しバ》しハ物も言はず、打ち恨みたる顔付きにて、
 ある夜屋敷の者寝静まった頃、この内蔵之助は、采女の部屋訪れました。
 内蔵之助采女以外はもおらず、二人きり頭を突き合わせて、しばらくは物も言いませんでした。
 そして、内蔵之助は、恨めしそうな顔つきで、


「扨《さて》も飛鳥川《あすかがは》の渕瀬《ふちせ》、定め無きは人の心と言ゝながら、斯《か》く扨《さて》〈斯《か》く迄《まで》〉我を隔《へだ》て給ハんとは、露知らずして、仇《あだ》に契りし悔しさよ。
「それにしても、飛鳥川《あすかがわ》水が流れていた場所が、次の日には干上がっているように、人の心変わりやすいと言いますが、ここまであなたの心から離れていたとは、全く知りませんでした。
 あなたと交わしていた契りが、無意味になってしまったかと思うと、悔しくてたまりません。
[「飛鳥川の淵瀬《ふちせ》」は、「世の中は 何か常なる 飛鳥川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる」『古今和歌集』から生まれた言葉]


 然《さ》れば、一日《ひとひ》、白地《あからさま》ながら、戯《たハぶ》れ侍りし事、今ハよも打ち紛らはし給ふ事有るまじや。
 そもそも、先日私の追求図星であったにもかかわらず、あなた冗談めかしていましたが、はもう、誤魔化しになることはできませんぞ。

 忍び余れると有る歌の心は如何《いか》にぞや」
 と言へば、
『忍び余れる(恋しさに耐え切れない)』と詠んだ歌の気持ちどういうことでしょうか」
 と言いました。

 此の人、世にも弛《たゆ》げる頭《かしら》を擡《もた》げて、
 すると、この人(采女は、とてもダルそう頭を起こして、

「又、難《むつか》しの人の言葉ことばや。
「それにしても、人の言葉というものは、色んな意味解釈されてしまうので、難しいものですな。

 縦《よ》しや恋するにもし給へ、又物思ふにもし給へ、唯《たゞ》世の中の恨めしき身(の辛《つら》さ取り集め、)
 たとえば、そんなつもり言ったわけではないのに、恋をするという意味にも、物思いをするという意味にも、勝手解釈なさってしまわれます。
 は、ただ、この世における、情けない自分の身の上(の辛《つら》さまとめて、)


 【解説】

其の人(頼母)の名を、句の上(上の句)に置きて、折句の歌、詠ミ綴りて」という箇所が、ちょっと分かりにくいと思われるので、ここで解説します。


 和歌「五・七・五・七・七」三十二文字構成されますが、上《かみ》の句はその前半「五・七・五」のことです。

 折句《おりく》は、今で言うと、あいうえお作文縦読み同様言葉遊びです。
伊勢物語収録されているかきつばたの歌」に出しますと、

らころも
つつなれにし
ましあれば
るばるきぬる
びをしぞおもふ

 と、句の頭「かきつは(ば)た」にして、詠まれています。

 つまり、其の人(頼母)の名を、句の上(上の句)に置きて、折句の歌、詠ミ綴りて」というのは、上の句かきつばたの歌」で言うとかきつ箇所「た・の・も」にして歌を詠んだということです。


 さて、采女頼母を思って詠んだ歌内蔵之助発見されてしまいました。

 内蔵之助は再び問いただしますが、まだ采女しらばっくれるようです。



 挿絵[4]の、采女の所同僚たちお見舞いに来たシーンですね。

kihiminhamame.hatenablog.com

 


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 【次回予告を兼ねた くずし字クイズ】

 折句「た・の・も」バレてたみたいですね。

 正解は一番最後ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

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 「くて き飛ばしたい 障りだ」ヾ(๑╹◡╹)ノ"


 何それ?ヾ(๑╹◡╹)ノ"


 何だろ?ヾ(๑╹◡╹)ノ"


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 【くずし字クイズの答え】