うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

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[9]しらばっくれる采女に、とうとうブチギレる内蔵之助なのでした ~『男色義理物語』~

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 【前回のあらすじ】

 内蔵之助は、采女が頼母の事を思って詠んだ歌見つけ出し、再び追求するのでした。

 

 【初めての方へ】

 原典
画像だけでなく、スクロールすると、ちゃんと活字の原文(可能な限り漢字に直し、送り仮名と振り仮名を補足しています)と現代語訳解説がありますよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 スマホでご覧の方へ】

 諸事情
により、PC版と同じデザインになっています。なるべくスマホでも読みやすいようにはしているのですが、もし、字が小さいと感じた場合は、スマホを横にして拡大する読みやすいと思います。



 

 

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霞亭文庫 · 男色義理物語 · 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
男色義理物語 : 4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※赤字の書入れ等は筆者。

 

【原文】【現代語訳】

(縦《よ》しや恋するにもし給へ、又物思ふにもし給へ、唯《たゞ》世の中の恨めしき身)の辛《つら》さ取り集め、筆に任せて侍るまゝ、心二つに思はん人も有らんかなれど、
(たとえば、そんなつもり言ったわけではないのに、恋をするという意味にも、物思いをするという意味にも、は勝手に解釈なさってしまわれます。
 は、ただ、この世における、情けない自分の身の上)の辛《つら》さまとめて、思いつくまま筆を走らせただけです。


 縦《よ》し其れハ兎も有れ角も有れ、人の口に戸ハ立てられず」
 それを浮気心詠んだ思う人いるでしょうが、まあ、それはいずれにても、どうしようもないことで、他人の口から出る言葉は、止めることができないわけで」
[「人の口に戸ハ立てられず」の箇所は、『雨夜物語』では、「いはでの山に年を経んにはしかじ」(藤原顕輔「思へども いはでの山に 年を経て 朽ちや果てなん 谷の埋れ木」『千載和歌集』を踏まえるか)となっている]

 と真《まこと》しき顔付きにて、又打ち臥《ふ》しぬ枕を押さへて、
 と、采女真顔言い、またになろうとしました。
 すると、内蔵之介は、その押さえて、


「然《さ》もあれ、此の折句ハ如何《いか》に」
「ああ、それでしたら、この折句ですか」

 と素気無《すけな》ふ差し置けバ、
 と、折句が書かれた紙をそっけなく差し出して置きました。
 そして、内蔵之介は、


「哀れ言ふに甲斐無《かいな》く見へ給ふ物かな。
「ああ、本当見苦しいご様子ですな。

 昔より此の二つの道にハ、如何《いか》なる女御高位公達《によごかういきんだち》にも、心を掛けて虚《むな》しく恋〈恋死〉せし類《たぐひ》多し。
 から、男色・女色二つの道において、どんな身分が高い方々でも、するあまりに、はかなく亡くなってしまった多くあります。

 まして、是ハ朝夕同じ台《うてな》に打ち混じりて、言問《ことゝ》ひ交《か》ハし給ふに、然《さ》も輪廻《りんゑ》深き人の心や。
 まして、あなたはずっと同じ屋敷住んで同じ主君お仕えする同僚をするとは、なんと人の心執念深いものなのでしょうか。

 二人の親にも苦《く》を掛け、斯《か》く物を思ハせ給ふ事、孝《かう》の一事《いちじ》にも外れ給ふ。
 あなた患《わずら》いのことで、両親にも苦しい思いをさせ、このように心配をおかけになることは、「孝《こう》」(親孝行)という一字にも背くことになられます。

 然《さ》れバ、『孝經《かうけう》』にも『身体髪腑《しんたいはつぷ》を父母に受けて、敢《あへ》て毀《やぶ》り傷《そん》ぜざるを、孝の始めとす』とこそ言ふに、
 そもそも、『孝経《こうきょう》』にも
髪や皮膚を含むあなたの全ての肉体は、両親から授けられたものであるので、決して傷つけないようにすることが、(親孝行)の第一である』
 とあります。


 転《うたて》しき心惑《こゝろまど》ひにハ有らずや」
 恋煩《こいわずら》いによって、両親にいただいた大事な体痛めるなどということは、嘆かわしい気の迷いほかなりません」


 と荒ゝかに言ゝ罵《のゝし》りけれバ、其の時、少し起き直りて、
 と、荒々しく大声わめきちらしました。
 その時、采女は少し起き直って、

「心乱れし黒髪を、御身にし有れバこそ、斯《か》う取り上げて、思ひ元結《もとゆひ》を尋《たづ》ね給ふ。
乱れた黒髪を束ねる元結《もとゆい》求めるように、乱れた私の恋心の元《もと》(原因)何かを、契りを交わしたあなた様だからこそ気づいて見逃すわけにはいかないと取り上げ、こうして尋ねてくださるのですね。
[「心乱れし黒髪」は、待賢門院堀河《たいけんもんいんのほりかわ》「長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝《けさ》は 物をこそ思へ」『百人一首』をふまえるか]
[「取り上げる」には「髪を結い上げる」という意味もある]


 平兼盛《たいらのかねもり》が『忍ぶれど、人の問ふまで』等《など》とゝ言ひしも、良く言ひ叶《かな》ゑりや。
 平兼盛《たいらのかねもり》
「忍ぶれど 色に出でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで(隠していても、「恋してるの?」と人に聞かれるほど、私の恋心は顔に出てしまっているみたいでげす)
 などと詠んだ気持ちドンピシャすぎて。
平兼盛云々は、『雨夜物語』には無い]


 今ハ罪(深く忍び恥づべきにも有らず。)
 はもう罪(深く思い、忍んでいる場合ではありません。)


 【解説】

 しらばっくれる采女に、内蔵之介頼母の名が折り込まれた折句を、動かぬ証拠として突き出します。
 ついに、采女観念して、白状するようです。

 折句に関しては前回ご参照ください。
kihiminhamame.hatenablog.com


 それにしても、この作品の作者は、それなりの教養があった人物だと思われ、下手に和歌の技法とか使って書いてるから、訳しにくいったらありゃしない、んもう!ヾ(๑╹◡╹)ノ"



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 【次回予告を兼ねた くずし字クイズ】

 采女頼母に対する思い話し始めたようです。

 正解は一番最後ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

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 乱れた黒髪縛ってほしいよヾ(๑╹◡╹)ノ"


 ん? 黒髪なんかないから、代わりに縛ってあげようヾ(๑╹◡╹)ノ"


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 【くずし字クイズの答え】