『大鳥毛庭雀』[『舌切り雀』]の続きだよ!
僕もお爺さんに負けずに三つ目ダンスを踊っちゃおうかな!
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大鳥毛庭雀 2巻
本文
【原文】
富川房信画
爺ハ山へ雀を尋ねに出ける。
子供、
「舞を舞ハゞ、雀の所を教へてやらん」
と言ふ。
【さっくり現代語訳】
ジジはスズメを探しに出かけました。
途中で出会った子供たちに聞くと、子供たちは、
「ジジの歌謡ショーをやったら、スズメの居る所を教えてあげるよ。」
と言いました。
【解説】
「歌って踊れ!」なんて言われたらブチ切れそうなものですが、素直に舞うジジ。
ババにはDV行為を働きましたが、やっぱり根は優しいお爺さんなんでしょうね。
ちなみに、右下に絵師の名が唐突に書いてあります。
歌謡
【原文】
七つになる子が幼気《いたいけ》な事 言《ゆ》た
殿が欲しと歌ふた
さてもさても我御料《わごれ》ハ
誰人の子なれバ
定家葛《ていかかづら》か
離れ難やのふ
【さっくり現代語訳】
七歳になる子供がカワイらしいこと言った♪
「オトコが欲ちいの」って歌った♪
それにしても、お前はどこの ワカメ 子じゃ?
テイカカズラ[植物の名]みたいに絡み付いてくるから、離れることができんわい。
【解説】
ジジが歌って踊っているのは『七つ子』という歌謡です。
あ、この曲、信長の小唄を取り上げた時に、参考としてあげた曲だ♪
kihiminhamame.hatenablog.com
まさかこんな所で出てくるとは(笑)
「男が欲しい」って幼気というより、おマセさんですねえ。
お姉さんか誰かが言ったことをマネしたんですかねえ?
というか、ジジ、何で子供に聞かせるのにこの曲を選んだ(笑)
※子守唄的なものでもあったみたいです。
本文
【くずし字クイズの答え】
ぢゝ◆子ともの◆おしへ◆し◆
道◆を◆正じき◆に◆たつね◆ゆく
山をくに二八斗のうつくしき◆
むすめはたをおりて◆ゐたりしかぢゝをミて
われこそ◆したを◆きられしすゞめ◆なりしといふ
【原文】
爺、子供の教へし道を正直に尋ね行く。
山奥に二八斗《にはちばかり》の美しき娘、機《はた》を織りて居たりしが、爺を見て、
「我こそ舌を切られし雀なりし。」
と言ふ。
【さっくり現代語訳】
ジジは子供が教えてくれた道を、素直に進んで行きました。
すると、山奥で十六歳くらいの美しい娘が、機織りをしていました。
娘はジジを見ると、
「そうです、私が 変なおじさん 舌を切られたスズメです」
と言いました。
【解説】
スズメさん、普通にしゃべってると言う事は、舌をちょん切られたわけではなく、ちょっと切られた程度なのでしょうね。
「二八」とは十六歳の事です。
そう、2×8=16というわけです。
この当時の物語では、掛け算で年齢を表すことがよくあります。
「二八」以外では「三五[十五歳]」もよく出てきます。
それにしても、鶴と言い、鳥さんは機織りをするもんなんですね。
自分の羽なら使い放題ですものね♪
ジジのセリフ
【原文】
「舌切れ雀、ちょい/\/\。」
【さっくり現代語訳】
「舌を切られたスズメや~い、どこじゃ~」
【解説】
実は、この頃は「舌切り雀」ではなく「舌切れ雀」と呼ばれる事が多いです。
「舌が切れた雀」「舌を切られた雀」なので、意味的には「舌切れ雀」の方が正しいです。
「舌切り雀」だと「舌を切る雀」になっちゃいます。
でも、「舌切れ雀」より「舌切り雀」の方が圧倒的に言いやすいので、いつのまにか定着してしまったのでしょうね。
次回予告とくずし字クイズ
ジジはスズメにお・も・て・な・しを受けたみたいですね♪
ヒントっ!
三つ目コーナー
朗報! 東京大学図書館や京都大学図書館の画像も自由に使えるようになったみたいです!
ずっと取り上げたかった『雨月物語』が、国会図書館にはなかったけど、東京大学図書館にあるみたいなので、ようやく紹介することができそうです!
『三つ目物語』はないの?
そんなのがあったとしても、絶対に取り上げないし。
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