【要約】
桃太郎は名主を始めとする村人たちを招き、鬼ヶ島から持ち帰った宝物を見せびらかしました。
村人たちは宝物や鬼ヶ島の食べ物・お酒に興味津々ですが、もちろん、村人たちへのお土産は一切なく、ご馳走も正月の餅の残りです。
北尾政美(きたおまさよし)画『桃太郎一代記』天明元[一七八一]年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【翻刻】【補足表記】【現代語訳】
もゝ太良むらの◆なぬしとしより◆そのほかわかひ◆ものむかいのもの◆どもをよびたから◆ものをひろうし◆ていろ/\ち◆そうをする◆なにぞめづ◆らしいもの◆をミなさ◆まへもミや◆げにいたそ◆うとぞんし◆たがなに◆もこざら◆ぬ火うち◆いしをだへ◆るとぞんじ◆た所が正◆月のかたい◆もちをひつ◆かいてすい◆ものにいた◆します
桃太良、村の名主、年寄、その他若ひ者、迎いの者共を呼び、宝物を披露して、色/\馳走《ちそう》をする。
「何ぞ珍しい物を皆様へも土産に致そうと存じたが、何も御座らぬ。火打石を抱へる[?]と存じた所が、正月の堅い餅を引っ掻いて吸物に致します」
桃太郎は村の名主、年寄衆、そのほか、若い衆や出迎えの衆を招き、鬼ヶ島の宝物を披露して、色々とご馳走しました。
桃太郎「なにか珍しい物を村の皆様にお土産に持ってこようと思ったのですが、お土産にふさわしい物は何もありませんでした。せめて縁起物の火打石でも抱えて持ってこようと思ったのですが[?]、そうはいかないので、火打石のように堅くなった正月のお餅を砕いて、お吸い物にしてお出しします」
まつまめて◆かへつて◆わしらも◆うれしう◆ごさり◆ます
たから◆ものを◆いろ/\◆とさが◆しまし◆たがも◆ふこれ◆ぎりてこ◆さります
「まづ、忠実《まめ》[?]で帰つて、儂らも嬉しう御座ります」
「宝物を色/\と探しましたが、もう此切(これぎり)で御座ります」
婆「まずは、桃太郎がちゃんと帰って来たので、ワシらも嬉しゅうございます。
桃太郎が鬼ヶ島から持ち帰った宝物を色々と物色したのですが、こんなものしかなく、皆様にお渡しするようなものはございませんでした」
ミなさまるす◆のうちハお◆セわてこさ◆りました
これを◆とつて◆まいつたれ◆ばあと◆にハ◆なに◆もこさらぬ
「皆様、留守の内ハお世話で御座りました」
「是を取って参つたれば、跡にハ何も御座らぬ」
桃太郎「村の皆様、私が留守の間はご迷惑をおかけしました。
宝物は全て奪ってきたので、鬼ヶ島にはもう何も残っておりません」
なぬし◆つれた◆ちくる
名主、連れ立ち来る。
村人たちは名主を連れてやってきました。
めづらしいもの◆をミますどれ◆もけつこうな◆ものじや此やう◆なものハ大こく◆さまかもつて御さ◆るとおもつて◆ばかりいました◆どうしておにがしま◆に御ざつたことやら◆これからまいばんきて◆ちやのミはなしに◆おにかしまのめ◆づらしい◆ことを◆きゝ◆ましやう◆此としま◆でミたことも◆ない
「珍しい物を見ます。どれも結構な物じや。此の様な物ハ大黒様が持って御座ると思つてばかりいました。どうして鬼ヶ島に御座つた事やら。是から毎晩来て、茶飲ミ話に鬼ヶ島の珍しい事を聞きましやう。此の歳まで見た事も無い」
村人A[名主?]「これはこれは、珍しい宝物を見せていただきます。どれも素晴らしい宝物です。このような宝物は大黒様が持っていると思っていました。なんで鬼ヶ島にあったのか不思議に思います。これから毎晩お邪魔して、茶飲み話に鬼ヶ島での珍しい出来事をお聞きしましょう。この歳までこんなことは見た事も聞いた事もありません」
しまにハ◆めつらしい◆うまいもの◆かたくさん◆あるかな
「島にハ珍しい美味い物が沢山《たくさん》有るかな」
村人B「鬼ヶ島には珍くて美味しい食べ物がたくさんあるのですかな?」
さけハよいかなしかし◆おにころしと◆いふからよくも◆ある◆まい
「酒ハ良いかな。しかし、鬼殺しと言ふから良くも有るまい」
村人C「酒は良い物がありますかな?いや、「鬼殺し」というくらいだから、鬼にとって酒は良い物ではないのでしょうな」
おとこ◆山けんびしなどとハいくまい
男「山剣菱《やまけんびし》等《など》とは行くまい」
村人D「山剣菱[酒の名前か?]のような名酒はないでしょうな」
【解説】
爺の姿が見えませんが、まあ、これも単に描くのが面倒だったからでしょうなヾ(๑╹◡╹)ノ"
この当時から「鬼殺し」という銘柄のお酒はあったんですねえヾ(๑╹◡╹)ノ"
「剣菱」というのも現在でも製造されている伊丹の銘酒ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
はい、鬼ヶ島からの宝物を、大したものは無いと言って、村人には一切渡さない強欲な桃太郎一家ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
反物とか、村人でも大いに使えそうなんですけどねえヾ(๑╹◡╹)ノ"
しかも、おもてなしのご馳走も、正月の餅の残飯処理ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
独占した宝物をどうするのかは、次回に判明しますヾ(๑╹◡╹)ノ"
三つ目コーナー
僕のお宝も見てよ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
君が言うと下ネタに聞こえるんだよなヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
井原西鶴の大著、『男色大鑑』の一般向けの現代語訳「歌舞伎若衆編」が発売されました♪
北見花芽の中の人もちょっと書いてるので、興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから買ってくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。
- 作者: 染谷智幸,畑中千晶,河合眞澄,佐藤智子,杉本紀子,濵口順一,浜田泰彦,早川由美,松村美奈,あんどうれい,大竹直子,九州男児,こふで,紗久楽さわ
- 出版社/メーカー: 文学通信
- 発売日: 2019/10/21
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
「武士編」も好評発売中です♪
- 作者: 染谷智幸,畑中千晶,佐藤智子,杉本紀子,濵口順一,浜田泰彦,早川由美,松村美奈,あんどうれい,大竹直子,九州男児,こふで,紗久楽さわ
- 出版社/メーカー: 文学通信
- 発売日: 2018/12/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
『男色を描く』も合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。
◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆先日のYouTubeの件は、もう一つのブログの方にまとめておきました。
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w