今回で完結だよ!にゃ~!
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 好色一代女. 巻4
20ページ目です。
【原文】
留(とめ)ける。
面(おもて)向きは京に変(かわ)る事なく、内(うち)は忙(せは)しく、下男は台唐臼(だいがらうす)[踏み台付きの唐臼]、下女は刺し足袋(たび)[足袋の一種]に暇(いとま)なし。
惣(そう)じて、躾方(しつけがた)正しき所なり。
この御家(おいえ)に五~七人も召し使ひの女有りしが。それ/゛\の役(やく)有り。
自(みづから)ばかり隙(ひま)有り皃(がほ)に様子(やうす)を見合はせけるに、夜(よ)に入りて「御床(おとこ)を取れ」と有りける。
是までは聞(きこ)えしが、「上様(かみさま)と同じ枕(まくら)に寝(ね)よ」とは心得難し。
是も主命(しゆめい)なれば、嫌とは言はず、「御腰(おこし)など摩(さす)れ」かと思へば、然(さ)は無くて、我を女にして御主様(おぬしさま)は男に成りて、夜もすがらの御調謔(おたはぶれ)。
然(さ)ても気の毒なる目に遭ひぬる事ぞかし。
浮世(うきよ)[世の中]は広(ひろ)し、様/゛\の所に勤め(つと)めける。
此の上様(かみさま)の願(ねが)ひに「一度(ひとたび)は又の世に男と生まれて、したい事を」と仰せける。
【ざっくり現代語訳】
「半年の契約期間が過ぎるのはあっという間のこと。
堺の地で苦労してみるのも良いでしょう」[一代女の心の声]
と、ここで奉公することに心を決めました。
表の店の感じは京都と大して変わりはないのですが、家の中の方は忙しく、下働きの男は台唐臼を踏み、下働きの女は刺し足袋作りにと、休む間もなく働いています。
全体的に規律の厳しい家のようです。
この家には六人ばかり女の奉公人が働いており、もちろんそれぞれに振り分けられた仕事があるのですが、私だけは何もする事がなく、ぼーっとしながら様子をうかがっていますと、夜になってようやく、「ご隠居様と一緒に寝る用意をしなさい」と言われました。
男の主人に奉公する時に言われるのは珍しくないですが、「女のご隠居様と同じ布団で寝よ」などというのはワケワカメ。
ですが、雇い主からの命令なので嫌とは言わずに従いました。
「腰のマッサージをしなさい」などと言われるのかと思いきや、私をネコ[同性愛における女役]にして、ご隠居様がタチ[同性愛における男役]となり、一晩中、私の体をもてあそびになったのでした。
それはそれは酷い目に遭いましたわ。。。
浮世は広し、「うきよのおはなし」は面白し、私も色んな所で働いたものです。
ちなみに、このご隠居様は常々、「一度でいいから、男に生まれ変わって、好き放題してえ!」と願ってらっしゃいました
【解説】
『好色一代女』巻4-4「栄耀願男」の翻刻やら訳やら、無事に完結しました!
そもそも、以前、
「男性の同性愛[男色]が描かれた作品はたくさん見るんだけど、女性の同性愛が書かれた作品ってないの?」
と聞かれたことがあるので、この作品を紹介してみたのでした。
が、女性の同性愛は、春画とかでは多少見られるのですが、お話となると、この作品以外、見つからないんですよね。。。
女性の同性愛は、圧倒的に数が少なかったからなのか、それとも、表に出ることがまずなかったからなのか???
研究課題として継続いたします。。。
うはっ!ネコってそういう意味だったのね!にゃ~!
前回のくずし字クイズの答え
今回のクイズ!
はい、お話は完結しましたが、このシリーズはまだ続きますよ!
こちらはこの『好色一代女』巻4-4「栄耀願男」の挿絵なのですが、この絵に描かれている人物は誰でしょう???
ここまでお読みになった皆様なら即答でしょうね♪
正解発表は次回です♪
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