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②五つの女のドクロの謎 ~②井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~

 

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井原西鶴『本朝桜陰比事』元禄二[一六八九]年刊
新日本古典籍総合データベース
※この記事では国文学研究資料館所蔵品のデジタル公開画像を適宜加工して使用しております。

翻刻

何の御 僉議《せんぎ》もなく此 長櫃《ながひつ》ハそも/\壹人して見付し
事か。又ハ大勢して見し事かと御たづねあそバされし時。是
に罷有候何がし一人して見付候段申上る。おのれ無用《むやう》の物
を見つけ其一里の者どもに難義《なんぎ》を掛《かけ》たる過怠《くハたい》に。これ
よりすぐに四条川原に行て。今度《こんと》桂《かつら》川を流《なかれ》し長持《ながもち》
の噂《うハさ》を。浄溜利 狂言《きやうけん》に取 組《くミ》仕る事かたく曲事《きよくじ》のよし
芝居《しはゐ》中へ急度《きつと》觸《ふれ》わたすべしと仰せ付られ子細なく相
濟《すミ》けると也。是ハ役者《やくしや》ども狂言《きやうげん》の種《たね》に拵へ。かつら川に
流《なか》しけるか彼《かの》里人たのまれしを。はやく御 氣《き》を付さ
せられ外へさハらぬ御仕置。長持ハ野寺へあけいかなる
むかしのしれぬ瀑首《しやれかうべ》おもひもよらぬ御弔ひ請ける
となり

【現代語表記】

 何の御僉議《ごせんぎ》も無く、
「此の長櫃《ながひつ》はそもそも、壱人《ひとり》して見付けし事か。
 又は大勢して見し事か」
 とお尋ね遊ばされし時、
「是に罷有候《まかりありそうろう》何がし、一人して見付け候」段、申し上げる。
「己《おのれ》、無用《むよう》の物を見付け、其の一里の者どもに難義《なんぎ》を掛《か》けたる過怠《かたい》に、これよりすぐに四条川原《しじょうがわら》に生きて、今度《こんど》桂川《かつらがわ》を流《なが》れし長持《ながもち》の噂《うわさ》を、浄溜利《じょうるり》・狂言《きょうげん》に取り組《く》み仕《つかまつ》る事、堅く曲事《きょくじ》の由《よし》、芝居中《しばいじゅう》へ急度《きっと》触《ふ》れ渡すべし」
 と仰せ付けられ、子細無く相済《あいす》みけると也。
 是は役者《やくしゃ》ども、狂言《きょうげん》の種《たね》に拵《こしら》え、桂川に流しけるが、彼《か》の里人頼まれしを、早く御気《おき》を付けさせられ、外へ障《さわ》らぬ御仕置《おしおき》。
 長持は野寺へ上げ、如何《いか》なる昔の知れぬ瀑首《しゃれこうべ》、思いもよらぬ御弔《おとむら》い請ける。

【現代語訳】

 その時、お奉行様は、特に何の取り調べもなさらずに、

「この長持は、そもそも、一人で見付けたのか?

 それとも、大勢で流れてくるのを見たのか?」

 とお尋ねになりました。

 村人の〇〇は、

「ここにおります〇〇一人で見付けました」

 と申し上げました。

 すると、お奉行様は、

「おのれ! よくもつまらない物を見付けて、村人たち迷惑をかけたな!

 として、今すぐに四条河原《しじょうがわら》に行き、

『このたび桂川を流れた長持話題を、浄瑠璃歌舞伎に取り入れたら、厳しく処罰する』

 と、芝居小屋の連中にしっかり触れ回ってこい!」

 と仰せ付けられ、問題なくこの件解決したのでした。

 つまり、役者たちが、歌舞伎のネタになるように、シャレコウベ[ドクロ]入りの長持を作って桂川に流し、例の村人の〇〇に頼んで見付けさせたということです。

 お奉行様は、このことに、いち早くお気付きになられ、どこにも影響が出ないように対処されたのです。

 長持郊外のお寺納められて、の誰のものだかも分からないシャレコウベが、思いもよらない供養を受ける事になったのでした。

【解説】

 この時代の歌舞伎は、町中話題になっていることを、芝居の題材にする事をよくしていました。

 ワイドショーの再現フィルムのようなもんだねヾ(๑╹◡╹)ノ"

 しかし、この時、京都では何の話題もなかったので、ネタに困った芝居関係者が、ヤラセに走ったという事です。

 ドクロと黒髪入りの長持桂川を流れてきたら、そりゃあ、都中の話題になりますわな。

 が、お奉行様の機転で、ヤラセ案件阻止されたというお話でした。

 ただ、なんか、このお話解決はしたんですが、謎が残ったまんまなんですよね。

 お奉行様がこれだけの情報だけで、なんでヤラセを見抜いたのかが書かれていませんし、芝居関係者が、ヤラセのドクロ入り長持話題になったら、どんな話を作ろうとしていたかも不明のままです。
 
 たぶん、みなさんにも、釈然としない箇所が他にもあると思います。

 ドクロの調達場所とかヾ(๑╹◡╹)ノ"

 ひょっとしたら西鶴は、わざと中途半端にして、詳しく書かなかったのではないかと?

 この作品西鶴から我々への挑戦状ですよ(笑)

 次回から、西鶴の挑戦受け止めて、この作品をもう少し深く検証していきたいと思います。

 一応、こちらの本ではなるべく謎が残らないように補って小説化したんですけど、あくまでも読み物ですのでヾ(๑╹◡╹)ノ" 

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