『赤本再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊]
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
赤本花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション
花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
①福犬ハ、或る夜、枕上《まくらがミ》に立ちて、正直爺《しやうぢきぢゞ》、正直婆《しやうぢきばゞ》に一礼《いちれい》を述ぶる。
②「只今迄《たゞいままで》の御厚恩《ごかうおん》、有難《ありがた》う御座《ござ》ります。此の末共《すゑとも》、守りますから、御安堵《ごあんど》なされませ」
③「私《わたくし》の埋められた所の松の大木を切つて、臼《うす》に拵《こしら》へ給へ」と教ゆる。
④白粉《おしろい》の良く乗る薬
江戸の水 四十八文
㐧一、肌理《きめ》を細かにし、御顔《おかほ》の出来物《できもの》一切に良し。
暑さ寒さに白粉は剥《は》げず、良く乗る事、請《う》け合ひ也。
三馬製
近頃、紛らハしき薬、数多《あまた》、出ゞ《いだ》すまゝ、よく/\名印御改め、御求め可被遊候《あそばさるべくさふらふ》。
⑤正直爺、夢覚めてより、福犬が教えに従ひ、彼の大木の松を挽《ひ》かせて、大きなる臼に拵へける。
⑥「余りの木ハ、薪《たきゞ》に使ひましよ。臼にして売ると余程の金になれど、福を余所《よそ》へ遣《や》つてハならぬ」
⑦「晩にハ按摩《あんま》の代ハりに、酒を十六文 奢《おご》るべい」
⑧「ゑいや/\」
⑨「今日ハ余程 果《はか》が行たぞ。精出せ/\」
【現代語訳】
①福犬は、ある夜、枕元に立って、正直じじと正直ばばにお礼を言いました。
②福犬「これまで、大切に愛して下さり、ありがとうございます。これから先も、二人を守りますから、ご安心くだされ」
③福犬は、「私が根元に埋められた松の大木を切って、臼を作りなされ」と教えました。
④白粉《おしろい》の乗りが良くなる薬「江戸の水」四十八文[約一五〇〇円]
なにより、肌のキメを細かくして、お顔のできもの全てに効きます。
暑くても寒くても白粉は落ちず、しっかりつく事間違いなしです。
式亭三馬製
最近、類似品がたくさん出ていますが、商品名やメーカーをよくお確かめになって、お買い求めくださいませ。
⑤正直じじは夢から覚めて、それから福犬が教えた通り、例の松の大木を切らせて、大きな臼を作りました。
⑥正直じじ「あまった木は薪《たきぎ》に使いましょう。臼にして売ると大金になるでしょうが、福の形見をよそにやってはなりません」
⑦職人A「夜はマッサージの代わりに、酒を一六文[約五〇〇円]おごってやろう」
⑧職人AB「えいや、えいや」
⑨職人B「今日はえらく仕事がはかどった、がんばれがんばれ」
【解説】
夢枕に出て来て二人をこれからも守るだなんて、無理やり貸し出されて殺されたのに、福犬が健気《けなげ》すぎます。
④で突然、白粉の良く乗る薬の広告が出て来て、ビックリされたでしょうが、作者の式亭三馬は薬屋を営んでいまして、自分の店の薬の広告を、ここにちゃっかり載せているわけです。
「江戸の水」は今で言う、化粧水でしょうかね。
正直じじは「福をよそへやってはならぬ!」と誓っていますが、そもそも、福をよそに貸したのは誰でしたっけ???
見て見て、化粧水を新しいのにしたら、ファンデーションの乗りが良くなったよヾ(๑╹◡╹)ノ"
え?三つ目ってメイクしてたの???
◆北見花芽のほしい物リストです♪
5月3日は北見花芽の誕生日ヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
※北見花芽の中の人も少しだけ付録CDで担当しています。
※付録CDに『武太夫物語絵巻』(『稲生物怪録』)が収録されています。
北見花芽愛用のくずし字辞典です。
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪
多くの方に読んでいただきたいので、少しでも拡散してくださるとありがたいです。