『赤本再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊]
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
赤本花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション
花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
①正直爺ハそれとも知らず、慳貪爺が方へ来たり、「臼が空いたらバ返してくれよ」と言ふに、斯様《かやう》/\の事にて砕きたる由《よし》、言ひけれバ、正直爺、驚き歎き、「然《しか》らば、其の灰を下され」とて、釜の下より貰ひ、帰りぬ。
②「其の灰が何《なん》になるやら。幾《いく》らでも持って行《ゆ》かしやれ」
③「思ひ出しても業腹《がうはら》でならぬ」
④「扨《さて》/\惜しい事をしました。しかし、臼の科《とが》とあらバ仕方が無い。此の灰をせめての形見に貰ひましよ」
⑤正直爺ハ、彼《か》の灰を笊《ざる》に入れて、枯れ木の枝に跨《またが》り、「枯れ木に花を咲かせましよ、花咲き爺《ぢゞ》、花咲かせ爺」とぞ呼びたり。
⑥「其処《そこ》に居るハ何者ぢや、殿様のお通りぢや、片寄れ/\」
⑦「是《これ》は花咲き爺と申して、枯れ木に花を咲かせまする。お望ミならバ、咲かせてお目に掛けましよ」
【現代語訳】
①正直じじは、臼が砕かれて焼かれたとも知らず、慳貪じじの家に行き、「臼が使い終わったら、返して下され」と言いました。
すると、慳貪じじが「かくかくしかじかで、臼は砕いて焼いた」と言ったので、正直じじは驚いて歎き、「それならば、その灰を下され」と言って、釜の下から灰を貰って帰りました。
②慳貪じじ「その灰が何の役に立つのやら。いくらでも持っていきなされ」
③慳貪ばば「思い出しても腹が立ってしかたがない」
④正直じじ「なんとまあ、残念なことをなされた。しかしながら、臼が悪さをしたのだから仕方ない。せめてこの灰を形見に貰いましょう」
⑤正直じじは、例の灰をザルに入れて、枯れ木の枝にまたがり、「枯れ木に花を咲かせましょう。花咲きじじ、花咲かせじじでございます」と呼びかけました。
⑥殿様の家来「そこにいるのは何者じゃ。殿さまのお通りじゃ。隅っこに寄れ」
⑦正直じじ「私は花咲きじじと申しまして、枯れ木に花を咲かせます。お望みならば、花を咲かせてお目にかけましょう」
【解説】
臼が悪さをしたのだから仕方ないって、正直じじさん、ちょっとお人よしすぎます。
で、特に夢のお告げがあったとかいう説明は一切なくて、何の脈絡もなく、左のページで突然、枯れ木にまたがって、枯れ木に花を咲かせる花咲きじじと名乗り出しますヾ(๑╹◡╹)ノ"
これ、正直じじさん、福犬は殺されるは、臼は焼かれるはで、ショックのあまり、とうとう精神状態がおかしくなって、奇行に走ってしまったのですよね。。。
あ、名場面は今回ではなく、次回のようですヾ(๑╹◡╹)ノ"
僕は花を咲かせたことはないけど、鼻を裂かれたことならあるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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