一寿斎芳員画『百種怪談妖物双六(むかしばなしばけものすごろく)』(安政五[1858]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 百種怪談妖物双六
新年の双六企画で出なかったコマの妖怪をちょこちょこ紹介していくシリーズです♪
◆幽谷響(やまびこ)◆
三 あかなめ
四 のぶすま
五 ねこまた
六 ゆき女郎
「山や谷に向かって叫ぶと、同じように自分の声が返ってくるが、これはやまびこという物の仕業に違いない」というやつですね♪
この現象は「こだま」とも言いますね♪
姿は『百怪図巻』『画図百鬼夜行』に描かれているのと同様です。
「幽谷響」と書いて「やまびこ」と読むのは、『画図百鬼夜行』から取っています。
「幽谷」は奥深い静かな谷のことで、「深山幽谷」[しんざんゆうこく][人が足を踏み入れていないような奥深い山や谷]という四字熟語に使われていますね。
完全な当て字ですが、「幽谷からの響き」とは、なかなか趣がある当て字です♪
『画図百鬼夜行』は白黒なので色はわかりませんが、『百怪図巻』ではオーソドックスな茶色で描かれています。
山彦 - Wikipedia
山の斜面でバランスを取りながら踏ん張って、健気に誰かが叫ぶのをずっと待っているようです(笑)
◆廃寺(ふるでら)の野伏魔(のぶすま)◆
一 たこの入道
三 上り
四 ひとつ目
五 ろくろくび
ヘビかなんかを足で捕まえているようです。
口からは何か臭そうな息を吐いています。
背景は雷でしょうかね?
野ぶすまにはムササビバージョンとコウモリバージョンがあるのですが、ここではコウモリバージョンですね。
要するに空を飛ぶ正体不明の獣を、野ぶすまって言ったんでしょうね。
確かに、ムササビやコウモリは古寺の屋根裏とかに住み着いていそうです。
普通は「野衾」という字を書くのですが、「野伏魔」という字にすることによって、おどろおどろしさが増しています。
おそらく、「伏魔殿」[ふくまでん][魔物が潜んでいる建物]から取っているのでしょうね。
確かに、古寺には色々な化け物が潜んでいそうです。
で、この野ぶすまと先ほどのやまびこ、何故か青色に塗られています。
普通は茶色やら黒やらで塗るべきですが、そんな色ばっかだと地味になるから青を入れたかったんでしょう。
日本には青色の獣はいなかったでしょうから、青色にするだけで化け物度が増しますしね。
実は、単なる色指定ミスだったりして(笑)
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