『化物昼寝鼾』の続きだよ!
前回で、見越し入道とキツネさんはイキになりました♪
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
※早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画
【原文】
昔風の化け物、擂粉木《すりこぎ》に羽が生え、盃台《さかづきだい》や行灯《あんどう》の化け物、古めかしと、当世、かう語り[?]、丼《どんぶり》の化け物なんても粋に化けねバ面白くなし。
毎年《まいねん》の春狂言、曽我兄弟の貧乏で色男、梶原が意地悪、同じ事でも趣向が替わる故、新狂言になりて、大入り。
化け物も趣向を変えて当てる気ハ奇特《きどく》なり。
【ざっくり現代語訳】
昔ながらのスリコギに羽が生えたのや、盃台や行灯の化け物は、今では古めかしいと言われます。
たとえドンブリの化け物でもイキに化けなければ面白くありません。
毎年の新春の歌舞伎興行では、貧乏で色男の曽我兄弟に、梶原平三景時がイジワルをするという、定番の出し物[「曽我物」]がありますが、同じ内容でも、演出を変えるので、新作として成立し、大入りになるのです。
このお話の化け物も、化け方の演出を変えて人気を得ようと努力したのは、感心なことです。
【解説】
「スリコギの化け物」は双六に出てきましたね。
kihiminhamame.hatenablog.com
「行灯の化け物」はこのお話の最初の方に出てきました。
kihiminhamame.hatenablog.com
「ドンブリの化け物」は、ドンブリ飯でも、メニューを変えていかないと、客に飽きられるという事を言っているのでしょうね。
この時期の作品で、「狂言」という言葉が出てきたら。大抵、歌舞伎の事を指します。もちろん、現在で言う「狂言」も存在したのですが、用法がごっちゃになっていたようです。
曽我兄弟のお話はこのブログにも少し出てきたことがあります。
kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com
このお話では、「趣向」という言葉が多く出てきます。
辞書的に言えば、
「(歌舞伎などで、)新しいことなどを取り入れ、面白味などを出すための工夫」
という意味にでもなるでしょうか。
ざっくり現代語訳では、毎回違う言葉で訳していますが、それは、その都度、なるべく分かりやすい言葉で言い変えるように心がけた結果ですので、その点はご了承下さいね♪
挿絵も見ていきましょう。
寝ているのは、本文からすると狂言作家でしょうか?
いや、それともこの作品の作者・市場通笑でしょうか?
それとも、この本を読んでいるあなた自身?
屏風にちらっと見える文字は「鳥」?
挿絵を描いている鳥居清長の「鳥」?
人間が寝ている間に化け物が本性を現すということなのでしょうか、ここには何体もの化け物が書かれていますね。
クイズは化け物が何匹いるかでしたよね。
それでは、カウントしてみましょう♪
①木・②灯篭・③花器・④火鉢[?]・⑤燭台[?]・花器 ― 顔がついてる
⑥孔雀の羽・⑦硯 ― 目玉がついてる
⑧机 ― 足がついてる
⑨達磨大師の掛け軸 ― 軸から飛び出て舌がベロン
⑩障子 ― 目がいっぱいついてる
ん? 目がいっぱいの障子?
あ、目目連《もくもくれん》だ!
まさか、こんなところで目目連にお目にかかれるとは♪
kihiminhamame.hatenablog.com
そうそう、クイズの答えは10匹でした!
正解された方、おめでとうございます♪
何も賞品はありませんが、こころおきなく喜んで下さい(笑)
というか、このページではもう文章が締めに入ってますよね。
どうやらこのお話の本編は前回までだったようです。
そして、次回で最終回なのです。
なんかやや尻すぼみのような。。。
くずし字クイズ
これはもう、「か(可)」さえ分かれば読めますね♪
次回も輪入道ブログをお楽しみに♪
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