鼻長僧侶のお話その４［終］　～『宇治拾遺物語』より～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

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※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
和文教科書. ７之巻宇治拾遺物語ぬきほ - 国立国会図書館デジタルコレクション

【原文】

斯《か》くやはせんずる。
　転《うた》てなりける心無しの、痴《し》れ者かな、己《おのれ》／＼、立て／＼」
　とて、追ひ立てければ、立つまゝに、
「世の人の、かゝる鼻持ちたるが、在《あ》らしまさばこそ、鼻持たげにも参らめ。
　痴《をこ》の事宣《のたま》へる、御坊かな」
　と言ひければ、弟子ども、物の後ろに遁《に》げのきてぞ笑ひける。

【現代語訳】
　ワシではなく、高貴なお方のお鼻であったとしたら、その時は、このような無礼なことはなにがあってもしないだろう。
　どうしようもない人でなしのバカものめ！
　てめえこの野郎、さっさと立ち去りやがれ！」
　と禅珍内供は怒って童子を追い払いました。
　童子は立ち去りながら、
「世の中の人で、他にこのような鼻をお持ちの方がいらっしゃったら、鼻を持ち上げに参上いたしましょう。
　しかしながら、そのような方は存在しないので、無礼も働きようがございません。
　ほんとうに、おかしなことをおっしゃるお坊様だ」
　と言ったので、弟子の僧たちは物陰に隠れて大笑いしたのでした。

【解説】

　要は、
禅珍内供「てめえ、高貴なお方の鼻だったら、絶対に落とさないだろ！」
童子「こんな鼻の方はこの世にあなたしかいないんで、ほかで落としようがありませんがな」
　ってことです（笑）

　禅珍内供、怒りっぽくて、とても徳が高い僧には思えませんね。
　童子レベルに上手い事言い返されてしまう始末ですし。
　寺が繁栄してるってことは、私腹を肥やしているというわけで、要は生臭坊主をディスッているお話なんでしょうね。
　大きな鼻は高慢さを意味しているのでしょう。
「鼻高々」とか「自慢の鼻が折れる」とか言いますものね。

三つ目コーナー

前回と言ってることが違わない？？？

では、魔法の言葉を言っておきますかね。

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