※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
たる所を、ぶんぶくハ「良き慰ミ」と飛んで下り、やがて狐と引き組ミ、難無く生け取り、我が部屋に来たりける折節、友の坊主立《ぼうずたち》、
「是ハ良き物を捕らへ召さつた。いざ、料《りやう》らん」
と俎板《まないた》の上に直しけり。
無惨や狐わ、
「此処《こゝ》こそ一世の命尽く、然《さ》あらバ、此処を逃げん」
と思へど、四足《しそく》を括《くく》られ、逃ぐる事成り難く、空死《そらじ》にをぞしたりける。
それとハ知らず、坊主立、
「いざや彼奴《きやつ》めが生き肝《ゞも》を取らん」
と言ふ。
ふくさいわ、「尻尾《しりを》が望ミ」と言ふ。
思ひ/\に狐一疋を四人の主付《ぬしづ》き、既に危うく見へし時、
「時分は此処よ」
と跳ね起き、知らせの屁を放《ひ》り掛けて、まつしぐらに逃げ行くを、
「何処《いづく》へ逃がさん、憎《につく》き狐め。剰《あますさ》へ屁まで
「あれ/\二良見ろ、坊様《ぼんさま》、狐と相撲《すまふ》取るハ」
「どつちが、勝つな」
「縄を進ぜう、縛《しば》らさい」
「此奴《こいつ》めが遣《や》らかしおつた、臭い。
ぶんぶくが手並みを見よ」
「ぶんぶく、良き物を持つて来やつた」
「何だ、きよつね[きつね?]か、さあ、取り敢《あ》へず、誘ふのみや」
「狐めが化ける所を生け取つた」
「此奴を料るべい」
「あゝ、夢になれ/\」
【現代語訳】
[本文]
キツネが化けようとしている所を、ぶんぶくは、「楽しませてもらうぞ」と、築山から飛び下り、すぐにキツネと取っ組み合い、簡単に生け捕りました。
自分の部屋に帰ると、友の坊主たちは、
「これは良い物を捕まえなさった。さあ、料理しよう」
とキツネをまな板の上に置きました。
あわれなキツネは、
「このままだと、ここで現世での命が尽きてしまう。それは嫌なので、ここから逃げねば」
と思うものの、四本足を縛《しば》られ、逃げるのは難しいので、とりあえず死んだふりをしています。
そうとは知らず、坊主たちは、
「さあ、こいつの生き肝を取ろう」
と言います。
ふくさいは、「しっぽが欲しい」と言います。
それぞれ思うがままに、キツネ一匹を四人の坊主で分け合うことになりました。
もうこれまでかと思われた時、キツネは、坊主たちがキツネが死んでいると油断しているのを、
「今がチャンス!」
と跳ね起きて、ドカンと一発、屁をひっかけて、まっしぐらに逃げて行きました。
坊主たちは、
「どこへも逃がさんぞ! 憎っくきキツネめ! おまけに屁までひっかけやがった!」
[右図]
子どもA「これこれ、二郎よ見てみろ、坊さんがキツネと相撲を取っている」
子どもB(二郎)「どっちが勝つかな」
子どもC「縄を差し上げましょう、これでお縛りなさい」
ぶんぶく「こいつめが屁をこきやがった、臭い! このぶんぶくの腕っぷしを見よ!」
[左図]
ふくあん「ぶんぶくが良い物を持って来た」
ふくさい「なんだキツネか、さあ、取り敢えず一杯やんなさい」
ぶんぶく「キツネが化けようとして無防備な所を生け捕りにした」
ぶんざい「こいつを料理しよう」
キツネ「ああ、これが現実じゃなくて、夢になりますように」
【解説】
キツネが化けるのを楽しみにしていたみなさんには期待外れでしたでしょうが、化ける時の無防備な状態である所を、ぶんぶくは簡単に捕まえます。
捕まって食べられそうになるのは、「カチカチ山」の最初っぽいですが、このお話は紛れもなく「ぶんぶく茶釜」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
生き肝は薬になるみたいですし、たぶん肉は鍋にでもして食べるんでしょうなあ。
「イタチの最後っ屁」ということわざがありますが、ここではキツネがオナラをして、そのすきに逃げ出します。
が、相手の茶坊主は四人もいます。
はてさて、キツネは逃げ切ることができるのでしょうか?
ちなみに、挿絵のセリフを見ると、キツネは捕まった時にもオナラをしていたみたいですね(笑)
僕は縛られるのが好きだよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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