妖怪雪濃段 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【原文】
斯《か》くて、夜明け方になりしかバ、一日の宿を頼む。
「申し/\、お女良、越後の大坊主なるが、大雪に後へも先へも参り難し。
黄昏《たそがれ》過ぎまで泊めて下され」
信濃ゝ山奥に年経て住む、古狸の骨長《こつちやう》、三つ眼《まなこ》の女房、雪女、挨拶《あいさつ》する。
[「古狸の骨長《こつちやう》(骨張)」という用語に関しては、式亭三馬作『大千世界楽屋探《だいさんせかいがくやさがし》』[文化十四(一八一七)年刊]標目に「古狸《ふるたぬき》の兀頂《こつちやう》同穴《ひとつあな》の狐狢《きつねむじな》と往時《わうじ》を語《かた》る」という用例がある]
「アゝ、お易《やす》い事ながら、亭主の留守に私が泊めますも如何《いかゞ》也。
是より十八丁 彼方《あなた》に、山猫の里ゝ申して、良い泊り宿が御座りまする」
【現代語訳】
化け物修行に出た見越大坊主は、夜明け方になったので、道中にあった家で、今日泊めてもらえるよう頼みました。
見越大坊主
「もしもし、ご婦人、越後の見越大坊主じゃが、大雪で後へも先へも行けませぬ。
夕暮れ過ぎまで泊めて下され」
[化け物の活動時間は夜で、寝るのは昼の間。なので、見越大坊主は、夜明けから夕暮れまで泊めてくれるよう頼んでいる]
信濃[長野県]の山奥に長年住むエリート古ダヌキが化けた三つ眼《まなこ》の女房である雪女が、見越大坊主に応対します。
雪女
「ああ、泊めるのは簡単なのですが、亭主が留守の間に、私が勝手に泊めるわけにはいきません。
ここから十八町[約2キロ]先に、山猫の里という良い宿場があるので、そちらへどうぞ」
【解説】
見越大坊主は信濃の山奥までやって来て、三つ眼の家で今日の宿を頼みます。
しかし、亭主の三つ眼が留守なので、妻の雪女に宿泊を断られてしまうのでした。
見越大坊主はムジナが化けた姿、三つ眼はタヌキが化けた姿とのことです。
この時代、ムジナとタヌキは混同されていることが多いのですが、このお話ではしっかり別の妖怪として区別されていますね。
ちなみに、前に読んだ雪女の話は越後でしたが、このお話では信濃に住んでいるみたいですね。
雪女のお話自体は少ないのですが、このようにキャラクターとしては江戸時代の作品にもよく登場しています。
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ええ~っ、やっと三つ目の妖怪が出てくると思ったら、留守なのね~ヾ(๑╹◡╹)ノ"
言ってくれたら、代わりに僕が出てあげたのに~!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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