※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
形を見つけられ、終に生け取りとなつて、「是を土産《みやげ》に参上せん」と、貉《むじな》を先に帆つ立て、東山殿の屋敷へ帰りける。
東山殿、「彼所《あそこ》、我が前へ貉を連れける褒美《ほうび》や」と御褒美《ごほうび》を下され、件《くだん》の貉ハ、御家中の疝気《せんき》持ち共に下されける。
有り難し共、中/\何に喩《たと》へんしる[知る?]も無し。
ふくさい「苦労のたん[嘆?談?]かな、冷や飯まで食べた」
ぶんぶく「あゝ、此の狸め故《ゆへ》に苦労した」
「褒美を取らせい」
「今より前の如く勤めい」
「坊主が散らし髪で働きました」
「即《すなわ》ち生け捕りました」
井筒屋板
【現代語訳】
[本文]
しかし、さすがにこれは神も許しがたく、ムジナ(タヌキ)はすぐに四人の坊主に正体を見破られ、ムジナは結局、生け捕りされてしまいました。
「このムジナを土産にして、東山殿の御前に参上しよう」
と、ムジナを先に急《せ》き立てて、東山殿の屋敷に帰りました。
東山殿は、
「お前たち、よくぞワシの前にムジナを連れてきた。褒美をやろう」
と、四人の坊主は御褒美を与えられ、そのムジナは、御家中の疝気《せんき》[下腹部の病気]を患う家臣たちに、薬として与えられました。
東山殿のお気遣いは、ありがたくて、なかなか、ほかに例えようがないくらいです。
おしまい
[挿絵部分]
ふくさい「冷や飯まで食べて苦労しました」
ぶんぶく「このタヌキのせいで苦労しました」
東山殿「この者たちに褒美を取らせよ。お前たちは、今から前と同じように、茶坊主として勤めなさい」
ぶんざいorふくあん「坊主が髪の毛を振り乱して頑張りました」
ぶんざいorふくあん「たちまちタヌキを生け捕りました」
【解説】
おしっこをひっかけたムジナ(タヌキ)には天罰が下り、ムジナは茶坊主たちに捕らえられてしまうのでした。
ムジナを捕まえた茶坊主たちは、東山殿に許されて復職し、めでたしめでたしですヾ(๑╹◡╹)ノ"
なお、ムジナは薬として食べられてしまったんですねえ。。。
あれ?キツネは逃げ通せた???(笑)
今の感覚で読むと「えっ」ていうような終わり方ですが、当時の感覚では、キツネやタヌキは化けて人間に悪さをする妖怪です。
茶坊主は妖怪を退治した英雄(ちょっと言いすぎかな)として、東山殿に迎えられたわけです。
ちなみに、この作品の後に描かれた「ぶんぶく茶釜」の絵本も同内容ですが、キツネは出てこず、最初からタヌキのお話になっています。
ぶんぶく茶釜
現在のように、茶釜に化けたタヌキが見世物をする内容で広まったのは、明治以降です。
ナカニシヤ日本一の画噺. ブンブクチヤガマ - 国立国会図書館デジタルコレクション
僕もいつも髪の毛を振り乱して頑張ってるから、これからも三つ目をよろしくね!
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