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ぶんぶく茶釜⑥[完] ~江戸時代の絵本~

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※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション

【原文】

形を見つけられ、終に生け取りとなつて、「是を土産《みやげ》に参上せん」と、貉《むじな》を先に帆つ立て、東山殿の屋敷へ帰りける。
 東山殿、「彼所《あそこ》、我が前へ貉を連れける褒美《ほうび》や」と御褒美《ごほうび》を下され、件《くだん》の貉ハ、御家中の疝気《せんき》持ち共に下されける。
 有り難し共、中/\何に喩《たと》へんしる[知る?]も無し。

ふくさい「苦労のたん[嘆?談?]かな、冷や飯まで食べた」
ぶんぶく「あゝ、此の狸め故《ゆへ》に苦労した」
「褒美を取らせい」
「今より前の如く勤めい」
「坊主が散らし髪で働きました」
「即《すなわ》ち生け捕りました」
井筒屋板

【現代語訳】

[本文]

 しかし、さすがにこれはも許しがたく、ムジナ(タヌキ)はすぐに四人の坊主正体を見破られ、ムジナは結局、生け捕りされてしまいました。
「このムジナ土産にして、東山殿の御前に参上しよう」
 と、ムジナを先に急《せ》き立てて、東山殿屋敷帰りました。
 東山殿は、
お前たち、よくぞワシの前にムジナを連れてきた。褒美をやろう」
 と、四人の坊主御褒美与えられ、そのムジナは、御家中の疝気《せんき》[下腹部の病気]を患う家臣たちに、として与えられました。
 東山殿お気遣いは、ありがたくて、なかなか、ほかに例えようがないくらいです。
おしまい

[挿絵部分]
ふくさい冷や飯まで食べて苦労しました」
ぶんぶく「このタヌキのせいで苦労しました」
東山殿この者たち褒美を取らせよ。お前たちは、今から同じように、茶坊主として勤めなさい」
ぶんざいorふくあん坊主髪の毛振り乱し頑張りました」
ぶんざいorふくあん「たちまちタヌキ生け捕りました」

【解説】

 おしっこをひっかけたムジナ(タヌキ)には天罰が下り、ムジナ茶坊主たち捕らえられてしまうのでした。
 ムジナを捕まえた茶坊主たちは、東山殿に許されて復職し、めでたしめでたしですヾ(๑╹◡╹)ノ"
 なお、ムジナとして食べられてしまったんですねえ。。。
 あれ?キツネ逃げ通せた???(笑)

 今の感覚読む「えっ」ていうような終わり方ですが、当時の感覚では、キツネタヌキ化けて人間に悪さをする妖怪です。
 茶坊主妖怪退治した英雄(ちょっと言いすぎかな)として、東山殿迎えられたわけです。

 ちなみに、この作品の後に描かれた「ぶんぶく茶釜」の絵本同内容ですが、キツネ出てこず、最初からタヌキのお話になっています。
ぶんぶく茶釜

 現在のように、茶釜に化けたタヌキが見世物をする内容広まったのは、明治以降です。
ナカニシヤ日本一の画噺. ブンブクチヤガマ - 国立国会図書館デジタルコレクション

 

もいつも髪の毛振り乱し頑張ってるから、これからも三つ目よろしくね!

 

 

 

 

 

 

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