※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
大声上げて囃《はや》しける。
此の騒ぎを東山殿聴き給ひ、「憎《につく》き坊主共が仕業」と、皆丸裸にして追い出さるゝ。
四人の坊主ハ、思ハずも裸坊主となり、と有る山陰に休ミ居る。
件《くだん》の狐ハ、火傷《やけど》だらけに、泣いて此所《ここ》へ逃げ来てミれば、件の坊主共、此所に居たるを見て、「転《うたて》や、悍《おぞ》め」と、貉《むじな》に「斯《か》く」と話せバ、貉是を聞きて、「我に任せよ」と、件の坊主の臥《ふ》したる所へ、金玉を広げて、頭へどんと被せける。
坊主共、是とハ知らず、
「此ハ暖かになつた事かな。有り難や。汗が出る」
と、貉の業《わざ》と知らず、喜びける。
何とかしたりけん余り、「坊主に目を覚まさせん」 と、強《したたか》ゝ小便を仕掛けけるが、天の憎しミによつて、忽《たちま》ち四人の坊主に
狐、頼む。
「此の度《たび》は散々、命辛々《いのちから/゛\》の目に遭《あ》いました」
貉、様子を聞く。
「憎い奴等だ。気づかいするな。敵《かたき》を取つてくりやう」
「よいこら、そうかな、暖かい事の」
「これハ/\」
「此奴《こいつら》らに、金の袋を被せてやらう」
「坊主共、片端《かたはち》から芋雑炊《いもぞうすい》にするぞ」
【現代語訳】
[本文]
「ぶんぶくの茶釜に尾が生えた! ぶんぶくの茶釜に目が生えた!」
と、みんな大声を上げて囃《はや》し立てます。
この騒ぎを東山殿がお聞きになって、
「この騒ぎは憎らしい坊主たちの仕業か!」
とお怒りになり、坊主たちは丸裸にされて追い出されました。
四人の坊主は、思いもよらず裸坊主となり、行く当てもないので、ある山陰で休んでいました。
例のキツネは、ヤケドだらけになって、泣きながら逃げて来ると、例の坊主たちがその山陰で休んでいるのを見つけました。
「ああ、嫌だ、ムカつく!」
と、キツネは、ムジナ(タヌキ)に「かくかく、しかじか」とこれまでの経緯を話しました。
ムジナはこれを聞いて、「ワシに任せろ!」と例の坊主たちが横になっている所に行き、キャンタマを広げて頭にドンとかぶせました。
坊主たちは、
「なんだか、暖かくなったなあ。ありがたい。汗が出る」
とムジナの仕業とは知らず、喜びました。
ムジナは、なんとかキツネの復讐をしてやりたいと思うあまり、
「坊主の目を覚ましてやる!」
と、大量にオシッコをひっかけました。
しかし、さすがにこれは神も許しがたく、ムジナはすぐに四人の坊主に
[右図]
キツネはムジナ(タヌキ)に復讐を頼みます。
「このたびは、散々な目にあい、命からがら逃げてきました」
ムジナはキツネから事情を聞きます。
「憎いやつらだ、任せろ、敵《かたき》を取ってやろう!」
[左図]
坊主たち「よいこら、そうかな[囃子詞]、これはこれは、暖かいなあ」
ムジナ「こいつらに、キャンタマ袋をかぶせてやろう! 坊主ども、片っ端から芋雑炊《いもぞうすい》にしてやるぞ!」
【解説】
大騒ぎに東山殿がキレて、四人の茶坊主は丸裸にされて追い出されてしまいました。
キツネもヤケドだらけになりながらも、逃げ出せたようで、ムジナに復讐を依頼します。
持っている扇子にしっかり「狸《たぬき》」と書かれているように、ここでのムジナはタヌキの別称です。
はい、お待たせしました、ここでやっとタヌキの登場ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
ムジナ(タヌキ)は、おなじみのキャンタマを広げて、坊主たちにかぶせますが、丸裸で寒かった坊主たちは逆に喜んでしまいます。
これではマズいと思ったムジナはオシッコをひっかけますが、次回、最終回に続きます。
僕の頭はよくキャンタマに間違えられるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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