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[6]茗荷宿 ~弥次喜多道中記より~

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『木曽街道続膝栗毛三編下巻』(十返舎一九作、文化九[一八一二]年刊)
続膝栗毛 3編 木曽街道膝栗毛 下 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。

【原文】

 コレ、見なされ、爰《こゝ》に置くさかい、明日取つて行かんせ。
 良《ゑ》いか、爰《こゝ》じやに/\」
 ト、釣仏壇の障子を開けて入れて置く所を弥次に見せて入れ置く。
 此の宿ハ、座敷にも、台所にも、六畳ばかりの所、たつた一間《ひとま》。
 押し入れと言ふ物も無く、破れ障子を横にして囲ひたるハ、夜具《やぐ》などの置き所と見へたり。
 流し元に亭主と女房、何やらぶつ/\囁《さゝや》き、夜食《やしよく》の拵《こしら》へするとて、煮《に》るも炊くも鍋一つ。
 漸《やうや》うの事にて出来、
亭主「サア、御方《おかた》、膳立《ぜんだ》てセんかい」
女房「飯椀《めしわん》が一つ無いさかい、コノ猫《ねこ》の椀《わん》など洗ふてもろかい」
亭主「何でも良《ゑ》いわい、早やう飯盛らんかい。
 ヱヽ、ソリヤ、懐《ふところ》のがりまめ(倅《せがれ》)が小便《せうべん》垂れよるそうじや。
 汁《しる》の中へほと/\落ちるハ」
北八「ヱヽ、汚ねへ。
 モシ、其の小便《せうべん》の落ちた汁《しる》ハ御免だね」
亭主「イヤ、掻《か》き回さずに、そつとこつちやの方を盛つて上げよかい。
 サア/\、遅なりました、上りなされ」

 ト、二人へ据《す》へた膳を見れバ、煤《すゝ》け返りし春慶《しゆんけい》の角膳《かくぜん》に、椀も欠けて縁《ふち》の剥《は》げたるなれバ、流石《さすが》の二人、大きに塞《ふさ》ぎて、
北八「コリヤ、謝《あやま》[「誤」?]るの」
弥次「こんな膳《ぜん》に座るのも、前生《さきせう》からの約束事《やくそくごと》であらう。
 仕方が無《ね》へ」
 ト、饑《ひだる》い時の不味《まず》い物無しとやらにて、椀の飯の真ん中の所ばかりを、ちつとづゝ食ひながら、汁ハ見たばかり、平《ひら》の蓋《ふた》を取りて見れバ、茗荷竹《ミやうがたけ》[「茗荷だけ」?]の煮染《にし》めたるばかりなり。
弥次「コリヤ、変ちきだ。
 汁も平《ひら》も茗荷《めうが》の外《ほか》にやァ、何も有りやせんか」

【現代語訳】

 亭主
「これ、見なされ、ここに置くさかい、明日取っていきなされ。
 良いか、ここじゃぞ、ここじゃぞ」

 と、釣仏壇障子開けて、しっかり入れる所弥次見せながら、亭主弥次がイタズラで金に見せかけた打飼袋《うちがいぶくろを》を、釣仏壇の中置きました。

 この宿座敷台所も合わせて六畳ばかりの、たった一間《ひとま》しかりません。
 押し入れと言う物も無く、破れ障子を横にして囲っているのは、寝具などの置き場所のようです。

 台所流しの所で、亭主女房は、何やらぶつぶつと囁《ささや》き合い、「夜食用意をします」と言って、煮る炊く鍋一つしかないので、やっとのことで料理出来上がりました。

亭主「さあ、女房や、配膳をしなされ」

女房茶碗一つ無いさかい、この猫の椀でも洗ってもらおうかい」


亭主
何でも良いわい、早く盛らんかい。
 ええ、そりゃ、お前懐《ふところ》抱いて息子が、小便垂れよるみたいじゃ。
 汁の中ポトポト落ちるわ」

北八「ええ、汚ねえ
 もし、小便の落ちた汁御免《ごめん》だね」

亭主「いや、かき回さずに、そっとこっちの小便が落ちてない方盛ってあげますから。
 さあさあ、遅うなりました、召し上がってくだされ」

 と、二人据《す》えられたお膳見ると、煤《すす》ですっかり黒くなった春慶塗《しゅんけいぬり》四角いお盆に、欠けて縁《ふち》が剥がれたお碗乗っていました。
 これには、さすがの二人も、すっかり気分が落ち込みました。

北八「こりゃ、参った

弥次「こんなお膳座るのも、前世から決まっていた事なのであろう、仕方がない」


 と、腹が減っている時不味いものは無いとか言うので、茶碗に直接触れている部分汚らしいから、茶碗に盛られた飯真ん中の所ばかりをちょっとずつ食べながら、汁椀小便が入って汚いから見るだけで手を付けず平椀《ひらわん》蓋《ふた》取ってみると、茗荷竹《みょうがたけ》[茗荷の若芽]煮込んだものしかありませんでした。

弥次「こりゃ、ヘンテコだ。
 汁椀平椀も、茗荷のほかに何も入ってないのか」

【解説】

 激狭な宿の上に、汚料理を出されてすっかり気分が落ちてしまった弥次喜多の二人
 はい、ここでやっとミョウガが出てきました。
 お忘れかもしれませんが、このお話「茗荷宿」をアレンジしたエピソードです。
 原文では、初めだけ「茗荷竹」書かれて、以降は単に「茗荷」とだけ書かれています。
「茗荷竹」は、ミョウガの若芽で、現在よく食べられている部分花穂です。
 はっきりとは書かれていないので、花穂も入っているかはよく分からないのですが、ミョウガ料理的には、平椀の煮しめ若芽で、には花穂を使うと、個人的には美味しいと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ"


 

 

 はい、料理出来ましたよ、どうぞ ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 うわあ、蚊の目玉しか入ってないじゃないか!ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

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