『木曽街道続膝栗毛三編下巻』(十返舎一九作、文化九[一八一二]年刊)
続膝栗毛 3編 木曽街道膝栗毛 下 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
【原文】
女房「サア/\、御客様、囲炉裏の根際《ねき》につつと寄つて、あづくミ(胡坐《あぐら》)なされ」
亭主「御前方《おまいがた》、荷物が無い上、そないにしゅミたれた形《なり》してじやに、儂《わし》や抜《ぬけ》け参《まい》りの杓振《しやくふ》りかと思ふた。
堪忍《かんに》なされ」
弥次「忌々《いめへま》しい事を言ふ。
如何に私等《わつちら》がこんな風をして居たれバとて、侮《あなづ》りがましい。
モシ、御邪广《おじやま》ながら、翌《あす》の朝まで是を預《あづ》かつてくんなせへ」
ト、予《かね》て弥次良が何処ぞで見栄《みへ》をやろうと思ひ、良い加減の石ころを拾ひて、ぐる/\と紙に包ミ、金と見せて打飼《うちがへ》の中へ入れ置きたるを取り出だし、爰《こゝ》にて抜け参りと見立てられしを躍起《やつき》と思ひ、「金と見せて肝を潰させん」と、打飼のまゝ引き結びて、亭主へ渡せバ、手に取りて吃驚《びつくり》し、
「ヤア/\、お金じやな。
こんな物、儂共《わしども》が預かつてい。
夜《よ》が夜つぴと寝《い》ねられまい。
コリヤ、御前方《おまいがた》の方に置きなされ」
弥次「イヤ、旅《たび》でハ金を持つて寝るハ、無用心《ぶようじん》だから、宿《やど》へ預《あづ》けて置くが良《い》ゝと、人が言ひやすから、御前《おめへ》の方へ置《お》いてくんなせへ」
亭主「其れは迷惑《めいわく》じやわい。
モシ、こうしよかい。
爰《こゝ》の釣仏壇《つりぶつだん》の中へ入れて置きましよ。
【現代語訳】
女房「さあさあ、お客様、囲炉裏《いろり》のそばに、つっと寄って、あぐらをおかきくだされ」
亭主「お前さん方、荷物が無い上に、そんなみすぼらしい姿をしておるから、わしゃ抜け参りの杓振《しやくふ》り[誰にも告げず、許しも得ずに、着の身着のまま伊勢参りに行く者。物乞いをして施しを受けながら伊勢を目指した。柄杓《ひしゃく》は伊勢参りする者の目印。抜け参りは黙認されていた]かと思った。
許してくだされ」
弥次「腹が立つことを言いやがる。
いくらワシらがこんな姿をしているからと言って、バカしてやがる。
もし、おジャマだと思うが、明日の朝までこれを預かってくんなせい」
と、弥次郎兵衛は、前から、どこかで見栄を張ってやろうと思い、いい感じの石ころを拾って、ぐるぐると紙に包み、金のようにみせかけて、打飼袋《うちがいぶくろ》[旅人が所持品を持ち運ぶための袋状の携帯装備]の中に入れてあったのを取り出しました。
弥次は、亭主に抜け参りと間違えられたのを腹立たしく思い、「大金を持っていると見せかけて驚かせよう」と打飼袋に入れたまましっかり結び、亭主に渡しました。
亭主は手に取って驚きました。
亭主「やあやあ、これはお金じゃな。
こんな物をワシらが預かったら、心配で一晩中寝られまい。
こりゃ、お前さん方が持っていなされ」
弥次「いや、旅では金を持って寝るのは無用心だから、宿へ預けておくのが良いと、人に教えてもらったから、お前さんが持っていてくんなせえ」
亭主「それは迷惑じゃわい。
もし、こうしようじゃないか。
ここの釣仏壇の中へ入れておきましょう」
【解説】
物乞いをしながら伊勢を目指す抜け参りと間違えられた弥次さん喜多さん。
日も暮れて姿が良く見えなかったのも、間違えられた原因ですかね?
旅慣れて軽装だったのも災いしたのでしょうか?
どちらにしても、ムカついた弥次さんは、大金(実際は石ころ)を預けるイタズラをしかけますが、はてさて。
僕の股間にも金があるよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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