『木曽街道続膝栗毛三編下巻』(十返舎一九作、文化九[一八一二]年刊)
続膝栗毛 3編 木曽街道膝栗毛 下 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
【原文】
亭主「爰《こゝ》ハ茗荷《めうが》の名物《めいぶつ》で、取り分け儂《わし》の所の裏にハ、早やう出来《でけ》た初物《はつもの》じやさかい、御馳走《ごちそおう》に炊いたのじやわい」
北八「如何《いか》に名物だとつて、茗荷《ミやうが》ばかりとハ余《あんま》りだ。
お前《めへ》、旅籠《はたご》ハ幾《いく》ら取《と》りなさる」
亭主「何も上げんさかい、旅籠ハ百五十で良《ゑ》いわいの」
弥次「押しの強《つゑ》ゝ」
亭主「其の代わり、こないにむさい家《うち》じやけれど、布団ハ根から蚤《のミ》の居《ゐ》んのを上げましよわい」
北八「蚤《のミ》ハ居《ゐ》ねへが、虱《しらミ》がたんと居《ゐ》るだろう」
亭主「左様《さよ》じや、虱ハやつと居《お》るわい」
弥次「コリヤ、とんだ目に遭《あ》ふ。
そして、風呂《ふろ》ハどうするね」
亭主「湯屋ハ此の先に有りよるが、もふ仕舞《しま》ふたじやあろ」
北八「途方も無《ね》へ。
旅籠を取りながら、湯《ゆ》も焚《た》かねへで」
弥次「手前《てめへ》が泊まろうと言つたばかりで、こんな所へ泊まつて詰まら無《ね》へ。
儘《まゝ》よ、往生《わうぜう》して寝てくれうが」
ト、此の内、夫婦して膳を片付け、軈《やが》て寝茣蓙《ねござ》一枚づゝ其処《そこ》へ敷き並べて、薄き布団の継ぎ/\なるを打ち着せて、二人を寝させ、夫婦の者ハ囲炉裏の傍《はた》にごろりと転げながら、
亭主「あの衆ハ、もふ寝入りよつたそふじや。
【現代語訳】
亭主「ミョウガはここの名物で、特にワシの宿の裏では、早い時期にミョウガが出来て初物じゃさかい、ご馳走として炊いたのじゃわい」
北八「いくら名物だと言っても、ミョウガばかりなのは、あんまりだ。
お前さん、旅籠銭《はたごせん》[宿泊と食事代]はいくら取りなさる」
亭主「たいしたもてなしもできんさかい、旅籠銭は百五十文[一両を十万円とすると、三千七百五十円。普通の旅籠より少し安いぐらいの価格。木賃宿なら、この三分の一ぐらいの価格で泊まれた。お金を持っていたので、強気な価格設定にしたと思われる]で良いわい」
弥次「強気な価格だな」
亭主「その代わり、こんなむさくるしい宿じゃが、布団は全くノミが居ないのをあげましょう」
北八「ノミは居ないが、シラミはいっぱい居るんだろ」
亭主「その通り、シラミはたくさん居るわい」
弥次「こりゃ、とんでもない目にあったわい。
それから、風呂はどうなっているのか」
亭主「銭湯はこの先にあるが、もう店じまいしたじゃろ」
北八「とんでもない、旅籠銭を取りながら、お風呂のお湯も沸かさないとは」
弥次「お前(北八)が泊まろうと言ったばっかりに、こんな所に泊まることになって、面白くもなんともない。
ええい、どうとでもなれ、もうあきらめて寝てしまおう」
と、こんなことを言っている間に、宿屋夫婦はお膳を片付け、そのまま寝ゴザを一枚ずつそこに敷き並べて、ツギハギだらけの薄い布団を掛けて二人を寝させ、宿屋夫婦は囲炉裏のそばにゴロリと寝転びました。
亭主「あの者たちは、もう寝入ったみたいじゃな」
【解説】
食事はミョウガばかり出され、風呂も無く、シラミだらけの布団で寝させられ、ボッタクリ価格の宿代を請求された弥次喜多の二人。
ミョウガばかり食べさせた宿屋夫婦の魂胆は、もうお分かりですよねヾ(๑╹◡╹)ノ"
ノミとかシラミの目玉って、どんな味がするんだろ? じゅる ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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