ここ数回、話題がそれちゃったけど、『化物昼寝鼾』の続きだよ!
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
※早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画
【原文】
化け物仲間、相談に集《あつ》ミ、
「はて、何でもかでも人間に先《せん》を取られ、疾《と》く人の心を知らねバならず。
今ゝでの相談に鼠ばかり一度も出ず。
是ハ人の家に住まひをする者、殊《こと》に四相《しそう》を悟り、窮鼠《きうそ》却《かへ》って猫を食《は》む。
猫ハ化けても踊りが大きな事。
猫も人の家《うち》には居れど、炬燵《こたつ》の上に寝て居たり。
竃《へつつい》の下へ粗相《そさふ》をして、鼻を擦《こす》られ、鼠も飯櫃《めしびつ》を齧《かじ》る故、地獄落とし「石見銀山」の憂《うれ》いハ有れども、大黒様のお好きとて、用ひられる事あり。
拠《よ》つて人家《じんか》を離れず。
兎角《とかく》鼠。」
と相談を頼む。
【ざっくり現代語訳】
化け物仲間は再び相談に集まり、
[キツネのセリフ]
「ううむ、何でもかんでも人間に先手を取られっぱなしでは話にならない。
早く人間の心の内を知らねばなるまい。
これまでの相談にネズミ殿は一度も来なかった。
それは、ネズミ殿が人間の家に住んでいるからで、人間の生態を良く知り、追い詰められても反撃する力も持っておる[窮鼠猫を噛む]。
一方、ネコ殿は化けても踊ることくらいしかできない。
人の家にはいるものの、コタツの上で寝てばかりで、何の役にも立たない。
しまいには、カマドの下にお漏らしをし、人間に鼻を擦《こす》られて怒られるという。
ネズミ殿も米櫃《こめびつ》の米を齧《かじ》るから、「石見銀山《いわみぎんざん》ネズミ捕り」を仕掛けられて地獄に落とされることはあるけれども、大黒様に気に入られてお使いを任されているほどのお方じゃ。
とにかく、人の家を離れることがないネズミ殿が頼りじゃ。」
とネズミ殿に意見を聞くことになりました。
【解説】
ここから下巻の始まりです。
ネコさん、酷い言われようですが、気を落とさずに頑張って!(笑)
ネコさんは、この頃は、コタツの中じゃなくて、上で寝ていたんですね!
現実では、カマドの下には婆の骨ではなく、ネコのオシッコなのですね(笑)
「石見銀山」は当時売られていた殺鼠剤の名前で、実際には石見銀山で採られたものではなかったそうです。
【原文】
皆/\の相談に狸ハ少しも思案無き故、居眠りて居るなり。
此の時より、狸寝入りとハ言ふ也。
【ざっくり現代語訳】
化け物仲間の相談の席で、タヌキは全く良いアイデアが出てこないので、居眠りをしています。
この時から「タヌキ寝入り」という言葉を使うようになったとか。
【解説】
前回のくずし字クイズの答えはここです!
「タヌキ寝入りは」今では寝たフリの事を言いますが、ここでは単に居眠りの事を言ってますね。
用法が微妙に変化していったのかしら???
描かれているのは、キツネ・ネズミ・ネコ・タヌキです。
化け物と言うより、動物の寄り合いですね(笑)
キツネさん、ご無事で何よりです!
次回予告とくずし字クイズ
何やら駕籠に乗った女性が二人、どこに何をしにいくのやら?
クイズは短くしました!
「は(者)」と「き(記)」のくずしがポイントです♪
え?今、何か通った???
え?今、何か通った???
え?今、何か通った???
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