玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。
【原文】
此の母、少しも人心地《ひとごこち》有る時ハ、心細げ成る事共も言ゝ、又起こると思ふ折/\は、物の怪めきて現《うつゝ》にもあらぬ風情也。
起こりて又少し押し鎮めて言う様《やう》、
「我、かゝる有様《ありさま》なれバ、終《つゐ》には消へ失せなん。
労《いたハ》しや、御身も我世に無く成りなバ、又誰をか母とも頼ミ給ハん。
我が母の譲りにて、鏡一つ持ちたり。
日比、命の限りと思ひし物なれば、是を形見に御覧ぜよ」
とて参らせけり。
「今ハ早《はや》、帰り給へ」
と勧むれど、見捨て難くて、一日二日と過ぐる程に、既《すで》に三日に成りにけり。
姫君の御方より文あり。
「母の悩ミ心苦し
【さっくり現代語訳】
玉水の養母は、少しでも正気な時は、不安な気持ちなどを話すのですが、再び発作が起きてしまうと、物の怪(け)に憑《と》りつかれたかのように、夢か現《うつつ》かわからない様子になってしまいます。
発作が起こって、また少し収まった時に、養母は、
「私はこんな状態なので、そのうちこの世から消え失せてしまうでしょう。
かわいそうに、私がこの世からいなくなってしまったら、あなたには母親として頼る人がいなくなってしまいます。
私は自分の母の形見として、鏡を一つ持っています。
私の命はもうあとわずかだと思うので、これを私の形見としてあなたに差し上げます」
と言い、その鏡を玉水に渡しました。
「今はもういいから、早くお屋敷にお帰りなされ」
と養母は玉水に促《うなが》しますが、玉水はとてもこのまま見捨てることなど出来なくて、一日、二日と過ぎ、すでに三日も経ってしまいました。
さすがに姫君の方からもお手紙が来て、
「母上のお病気が心配でしょうが、
【解説】
下巻の始まりです。
養母の病状はかなり重いようで、玉水はそばを離れることができません。
姫君からも屋敷に戻るよう催促の手紙が来たようですが。。。
養母はこのまま亡くなってしまうのか、それとも奇跡の回復を遂げるのか?
この先の展開から目が離せません。
次回の予習
姫君からの手紙です。姫君も玉水がいなくて寂しいようです。
三つ目コーナー
ねえねえ、なんで僕の後頭部を見てるの?
鏡代わり。
誕プレのお礼
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