桃を食べたら若返る！？　～『桃太郎一代記』その３～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

【要約】

　婆さんが川で拾った桃を、爺さんと婆さんは二人で仲良く食べました。
　爺さんと婆さん「めっちゃ美味いやん！！！」
　すると、なんということでしょう、白髪もシワもすっかり消えて、二人とも若返ってしまったではないですか。
　婆さん「子どもが出来るように、鬼子母神様にお参りに行きましょう♪」
　爺さん「うん、うん、何事も神や仏に頼るのが良い♪」

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北尾政美（きたおまさよし）画『桃太郎一代記』天明元［一七八一］年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
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【翻刻】【補足表記】【現代語訳】

まことに◆もゝ山のもゝ◆とハこれて◆あろふなん◆とばゞそう◆でハないか◆うまミも◆かくへつ◆じや◆このきんむら［？］◆のもゝにこの◆ようなもゝハ◆おほへぬ
「誠に桃山の桃とハこれであろふ。何と婆、そうでハないか。旨ミも格別じや。この近村《きんむら》［？］の桃にこの様《よう》な桃ハ覚へぬ」
爺「確かに、西王母様が授けて下さった桃山の桃とはこれであろう。どれどれ、もぐもぐ。むむむ！　婆さん、間違いないぞ！　とても美味いではないか！　この辺りの村にこんな桃はないぞ！」

そうて◆こさる一たいた◆ねも大きし◆あちもよし◆大きなもゝ◆て御ざる
「そうで御座《ござ》る。一体、種も大きし、味も良し、大きな桃で御座る」
婆「ええ、そうでございましょう。なにしろ種も大きくて味も良い、大きな桃でございます」

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【翻刻】【補足表記】【現代語訳】

これハ／＼ふし◆きなもゝしや◆しらかゝさつ◆はりと◆なくなつ◆てしわかのひ◆てとほうも◆なくわかくなつた
「これハ／＼、不思議な桃じや。白髪さつぱりと無くなつて、皺《しわ》が伸びて途方も無く若くなつた」
爺「なんとまあ、不思議な桃じゃ！　食べたら白髪がすっかり消えて、シワも伸びて無くなって、とんでもなく若くなった！」

わしもこの◆やうにわか◆やきました◆これてハ子も◆てきそうな◆ものた
「儂《わし》もこの様《やう》に若やぎました。これでハ子も出来そうなものだ」
婆「私もこんなに若々しくなりました。これなら子供も出来そうじゃ」

なんときし◆もしんさま◆へまいり◆御ねか◆い申ま◆しやう
「何と鬼子母神《きしもじん》様へ参り、御願い申しましょう」
婆「それでは、鬼子母神様にお参りして、子宝に恵まれるようにお願いしましょう」

いかさま◆それか◆よかろう◆とかく◆かミ◆ほとけさま◆の御りしやうだ
「如何様《いかさま》それが良かろう。とかく神仏《かミほとけ》様の御利生《ごりしやう》だ」
爺「うんうん、それが良いじゃろう。とにかく神仏のご利益にすがるのが良い」

【解説】

　桃を割ったら桃太郎が出てくるパターンも、この時代にも、もちろんあったのですが、このように、桃を食べたら若返り、子作りにハッスルして桃太郎ができる、というパターンの方が多かったようですヾ(๑╹◡╹)ﾉ"

　なぜか、桃を食べる前後では、家の様子も、服装も変わっていますねヾ(๑╹◡╹)ﾉ"

　種が大きいと今では苦情を言われそうですが、この時代は大きな種が美味しさのバロメーターだったようです。

三つ目コーナー

がぶ

いてて、これは、桃じゃなくて、僕のお尻！

◆インフォメーション

井原西鶴の大著、『男色大鑑』の一般向けの現代語訳「歌舞伎若衆編」がもうすぐ発売されます♪

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