『金玉ねじぶくさ』巻七の二「蛙も蛇を取る事」の続きですヾ(๑╹◡╹)ノ"
霞亭文庫書誌詳細
※この記事では霞亭文庫の画像を適宜改変して使用しています。
【原文】
然《しか》るに、何時《いつ》ぞの頃より、虵《へび》多く死して、池《いけ》の邊《ほとり》に骸《から》数多《あまた》蟠《ワだかま)れり。
何に取らるゝ躰《てい》にも見へねば、不思議の事に思ひしに、或《あ》る夕暮れ、何処《いずく》とも無く三足なる蛙《かわづ》一疋《いつぴき》飛び来て、水の汀《みぎわ》なる薄《すゝき》の影《かげ》にて頻《しき》りに鳴《な》く。
其《そ》の聲《こえ》を聞いて、築山《つきやま》の岩《いわ》の狭間《はざま》より、大きなる虵 一疋《いつぴき》這《は》い出て、此《こ》の蛙を取らんとす。
蛙《かへる》は鳴《な》くに正根《しやうね》を入れて後《うし》ろへ虵《へび》の臨《のぞ》む事を知らず。
上《うへ》なる亭《ちん》より是《これ》を見て、気の毒《どく》さに、
「虵を追い退《の》け、蛙《かわづ》を助けん」
と下《した》へ降りける其の間に、虵《へび》飛び掛ゝつて、蛙に喰《く》い付きぬ。
「然《さ》ては、最早《もはや》取られぬ」
と思ひ、其のまゝにして上《うへ》より詠《なが》め居《い》けれバ、暫《しばら》く有りて彼《か》の蛇は死し、蛙《かへる》は還《かへ》つて恙《つゝが》無く外《ほか》の所へ飛《と》び行《ゆ》きて、又先の如《ごと》くに鳴《な》く。
然る所に、此の聲《こへ》を聞いて何処《いづく》とも無く小《ちい》さき虵這ひ出でて、そろり/\と狙い寄り、相《あい》近く成りて彼《か》の蛙《かへる》に飛び掛ゝり、既《すで》に喰《く》らひ付く所を、
【現代語訳】
ところが、いつの頃からか、ヘビが多く死んで、池の辺《ほとり》に亡骸《なきがら》がたくさんとぐろを巻いていました。
何かにやっつけられた様子もなかったので、家の人は不思議に思っていました。
ある日の夕暮れ、どこからともなく、三本足のカエルが一匹飛んできて、水辺のススキの影でしきりに鳴きました。
その鳴き声を聞いて、築山《つきやま》[人工の小山]の岩の間から、大きなヘビが一匹這い出て来て、このカエルを捕ろうとしました。
カエルは鳴くのに一生懸命で、後ろからヘビが狙っていることを知りませんでした。
家の人は上の亭《ちん》[小屋]からこれを見ていて、カエルが気の毒になり、
「ヘビを追い払って、カエルを助けよう」
と思い、下へ降りているその間に、ヘビはカエルに飛び掛かって食い付きました。
「ああ、もう食べられてしまったか」
と家の人は思い、そのまま上から様子を見ていると、しばらくして、そのヘビは死んでしまい、カエルは生き延びてなんともなく、他の場所に行って、またさっきのように鳴きました。
そこに、この鳴き声を聞いて、どこからともなく小さなヘビが這い出て来て、そろりそろりとカエルを狙って近づきました。
射程範囲内になったところで、そのカエルに飛び掛かり、もう喰らい付いたかと思った時に、
【解説】
【現代語訳】で普通に「小屋」って書けばいいのに、わざわざ「亭《ちん》[小屋]」って書いたのは、やっぱりチンって響きが好きなんだね。
(ノーコメント)
さて、ヘビが捕食しようとしているの助ける行為、賛否両論ありますよね。
ヘビだって生きるのに必死なんだし、でも、カエルもカワイイし。。。
さてさて、三本足のカエルを食べようとしたヘビが謎の死を遂げますが、その謎を解くカギは、この話の導入部分、「チンと三敵の話」にヒントが隠されています。
さてさて、大きなヘビから逃れたカエルですが、今度は小さなヘビが襲ってきます。
一難去ってまた一難、今度もカエルはヘビを倒すことができるのでしょうか?
次回に続く!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
「を知る通信」さんに、「あなたの家の中にいるかもしれない衝撃の妖怪五選」という記事を寄稿しましたので、ぜひご覧ください!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
はてなブックマークでのコメントもぜひ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
news.woshiru.com
◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
◆インフォメーション
井原西鶴の大著、『男色大鑑』の一般向けの現代語訳「歌舞伎若衆編」が発売中です♪
北見花芽の中の人もちょっと書いてるので、興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから買ってくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。
- 作者: 染谷智幸,畑中千晶,河合眞澄,佐藤智子,杉本紀子,濵口順一,浜田泰彦,早川由美,松村美奈,あんどうれい,大竹直子,九州男児,こふで,紗久楽さわ
- 出版社/メーカー: 文学通信
- 発売日: 2019/10/21
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
「武士編」も好評発売中です♪
全訳 男色大鑑〈武士編〉
『男色を描く』も合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。
男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w