『曽呂里物語』巻四の四「万の物年を経ては必ず化くる事」には、三本足の蛙がでてきましたが、この話ではザコキャラであっさりとやっつけられてしまいました。
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なんだか、これでは三本足の蛙がかわいそうなので、三本足の蛙が活躍する話を取り上げたいと思います。
今回紹介するのは、『金玉ねじぶくさ』七の二「蛙も蛇を取る事」です。
え?キン〇マ??? キン〇マ袋がねじれたの??? ヾ(๑╹◡╹)ノ"
んもう、こういう人がいるから困るのよねえ。何でこういうタイトルなのか序文に書いてあるから、本文を読む前にまず序文を見て行きましょう。
霞亭文庫書誌詳細
※この記事では霞亭文庫の画像を適宜改変して使用しています。
【原文】
「金玉《きんぎょく》捻《ね》ぢ袱紗《ぶくさ》序」
儒佛《じゆぶつ》教へ異なれ共《ども》、理《り》は一ッ也。
孔子ハ現《げん》を説き、尺迦《しやか》ハ未来《みらい》を述べ、それ/゛\の機《き》に順《したが》つて、切磋琢磨《せつさたくま》の道《ミち》を立《た》つる。
然《しか》れども、其の規模《きぼ》とする所は、皆人《ミなひと》、仁《じん》に義《ぎ》に忠《ちう》に孝《かう》ならん事を思ふのミ。
是《こゝ》に於《お》いて、余《よ》も又、怪《くわい》を言ふ事を恐れず、理《り》となく方便《はうべん》となく交《まじ》へ、記《しる》しぬ。
是《これ》を「金玉捻じ袱紗」と題する事、金玉は人の愛す所、捻じ袱紗の如《ごと》く常に之《これ》を懐《ふところ》にせバ、初学の為に便《びん》あらんかと尓《しか》云《い》ふ。
何ぞ博厚《はくごう》の人の前に謗《そし》りを得る事を憂《うれ》へんや
元禄十七 甲申歳《きのえさるどし》 初陽《しよよう》吉辰《きつしん》 章花堂《しようくわだう》
【現代語訳】
「金玉《きんぎょく》ねじぶくさ 序」
儒教と仏教の教えは違ったものですが、その真理は一つです。
孔子は現在を説き、釈迦は未来を述べており、それぞれの教えに従って、信者は修行を重ねています。
しかしながら、その根本となるものは、全ての人が、仁義忠孝《じんぎちゅうこう》[思いやり・正義・主君への忠誠・親孝行]を尽くそうと思う事、ただ一つです。
そういうわけで、私も儒教と仏教の教えを区別することなく交えながら、ガンガン怪談話をすることにします。
この作品のタイトルを「金玉ねじぶくさ」としたのは、金玉[お宝]のように誰からも愛され、ねじぶくさ[袱紗《ふくさ》をねじって袋状にしたもの]のように常に携帯して、学問を学び始める手助けになって欲しいという思いからです。
たとえ、知識人の目の前で非難されても、どうってことありません。
元禄十七[一七〇四]年 甲申《きのえさる》年 正月吉日 章花堂《しょうかどう》
【解説】
なんだか堅苦しい文体ですね。
作者の章花堂は詳細不明な人物なのですが、学者系の人なのかもしれませんね。
序文の内容をものすごく簡単にまとめると、
儒教と仏教の教えは違うように見えて、その真理は同じもの。
だから、私は儒教仏教の区別なく取り入れて、怪談話を書くよ。
この本が、金玉のように愛されて、ねじぶくさのように常に携帯されますように、という思いを「金玉ねじぶくさ」というタイトルに込めましたの。
ってことです。
「金玉」は「お宝」のことで、
え?「お宝」?
ったく、いちいち反応するな、「宝物」のことだ。
そして、読みは「キン〇マ」じゃなくて「キンギョク」な!
「ねじぶくさ」の「袱紗《ふくさ》」は今でもご祝儀などを包む布として使われていますね。
「捻《ね》じ袱紗《ぶくさ》」は、その袱紗を捻じって袋状にして携帯用の物入れにしたものです。
表紙には『金銀ねじぶくさ』というタイトルが書かれているので、こっちを採用すれば勘違いは防げるはずなのですが、この作品は中に書かれている『金玉ねじぶくさ』というタイトルが今では採用されています。
たぶん、みんな「金玉」って字面が好きなんでしょうね(笑)
って、三つ目の勘違いのせいで、今回は序文の紹介で終わってしまいました!
次回から『金玉ねじぶくさ』七の二「蛙も蛇を取る事」の本文を読んで行きたいと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ"
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