前回は山東京伝が妖怪化したヘマムショ入道を紹介しましたが、このブログでおなじみの妖怪画家鳥山石燕も、ヘマムショ入道を元にした妖怪を描いています。
百鬼夜行 3巻拾遺3巻. [2] - 国立国会図書館デジタルコレクション
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺《こんじゃくひゃっきしゅうい》』(安永十[一七八一]年刊)
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
【原文】
火間蟲入道《ひまむしにうだう》
「人生《じんせい》勤《つとむ》るに有り、勤る時ハ匱《とぼし》からず」と言えり。
生《い》きて時《とき》に益《えき》無く、うかり/\と、間《ひま》を盗ミて一生《いつしやう》を送る者ハ、死しても其の灵《れい》、火間虫夜《ひまむしよ》入道《にうだう》と成りて、燈《ともしび》の油《あぶら》を舐《ねぶ》り、人の夜作《よなべ》を妨《さまた》ぐるとなん。
今、訛《あやま》りて「ヘマムシ」と呼ぶハ、「へ」と「ひ」と五音《ごいん》相通《そうつう》也。
【現代語訳】
火間虫入道《ひまむしにゅうどう》
「人生は働いてこそ価値があり、働いていれば貧しくなることはない」と言います。
生きている時に時間を有効に使わず、ぼーっと時間を無駄に過ごして、一生を送る者は、死んでからもその霊は火間虫夜《ひまむしよ》入道《にゅうどう》となって、行灯《あんどん》の油を舐《な》めて明かりを消し、人の夜の仕事の邪魔《じゃま》をすると言います。
今、間違って「ヘマムシ入道」と呼ぶのは、「へ」と「ひ」が同じ「ハ行」であるからでしょう。
【解説】
「火間虫入道」は本文では「火間虫夜入道」となっていますが、「ヘマムショ入道」も「ヘマムシ入道」とも言われます。
「火間虫」という字を使っていますが、意味的には「暇虫」でしょう。
「ヒ」には火を消すので「火」の字を使い、夜に現われるので、「ヨ」に「夜」の字を使ったのでしょう。
「虫」は、「泣き虫」や「お邪魔虫」と同様に、人を見下して言う時に使われる「虫」です。
もちろん、火間虫入道よりヘマムショ入道の方が古くから存在するので、ヒマムシが間違ってヘマムシになったというのは、石燕のシャレです。
石燕も京伝もヘマムショ入道を怠け者の妖怪にしているのが面白いですね。
うわあん、僕も火間虫入道になっちゃうのかなあ?
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