今回と次回は、ほんの少しだけ、今回の「油盗老女の運命は?~井原西鶴「身を捨てて油壺」『西鶴諸国はなし』~」にお寄せいただいたブコメにお返事をヾ(๑╹◡╹)ノ"
ほとんどブコメにお返事ができませんが、必ず全て目を通させていただいておりますよ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
id:Kitajskaya さん
老女の結末は可哀想でしたね。射落とされた首は口から火を吹くとありますが、江戸時代にもこのような描写があったことには驚きです。怪獣映画には怪獣が口から火を噴きますが、その原点はここだったのでしょうか?
さすがにルーツまでは未調査ですが、火を吹く妖怪は、「身を捨てて油壺」以外にも、この時代、ちょこちょこ見かけるんですよヾ(๑╹◡╹)ノ"
一例をあげますと、「身を捨てて油壺」以前の作品では、『曽呂里物語』に出て来る鬼女とかヾ(๑╹◡╹)ノ"
『曽呂里物語』[寛文三(一六六三)年刊]巻1の3
※北海道大学附属図書館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。(CC BY-SA 4.0)
新日本古典籍総合データベース
id:hukunekox さん
西鶴さんにかかると、とても恐ろしいお話しになってしまうのですね😅昔流行った口裂け女を思い出してしまいました😅
さすが、目の付け所が鋭いですね!
口裂け女は「ポマード」と言うと逃げて行くと言われています。
「油差」と同じ油系の言葉なので、「身を捨てて油壺」と口裂け女は関連があるのではないかという研究もあるんですヾ(๑╹◡╹)ノ"
それにしても、今のご時世、マスクが外せないから、口裂け女さんも人を驚かせられなくて、ストレスたまってるでしょうねえヾ(๑╹◡╹)ノ"
参考までに、江戸時代に現れた口裂け女のお話をどうぞヾ(๑╹◡╹)ノ"
『怪談老の杖』[平秩東作《へづつとうさく》作、宝暦四~六(一七五四~一七五六)年頃序」巻2の3
参考: 新燕石十種. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
「狐鬼女に化けし話」
麹町《こうじまち》十二丁目大黒屋長助と言ふ者の下人に、権助とて十七八の小僕《しょうぼく》あり。
或《あ》る時、大窪百人町《おおくぼひゃくにんちょう》の御組《おくみ》まで、手紙を持ちて行き、返事を取りて帰りけり。
はや暮れに及び、しかも雨強く降りければ、傘を差し来たりけるに、先へ立ちて女のづぶ濡れにて行きありければ、「傘へ入りて御出で成られよ」と声を掛けて立ち寄り、其の女の顔を見れば、口耳の際《きわ》まで裂けて、髪掻《か》つ捌《さば》きたる化け物なり。
「あつ」と言ふて即座に倒《たふ》れ絶え入りけり。
其の内に人見付けて、「倒《たを》れ者あり」とて、所の者など立ち合い吟味しければ、手紙あり。
まづ百人町の宛《あ》て名の処《ところ》へ人を遣はしければ、先の人近所など出合ひて、気付けを用ひ、「何故《なにゆゑ》気を失ひし」と尋ねければ、右のあらましを語りしを、駕《かご》に乗せ麹町へ送り返しぬ。
よく/\恐ろしかりしと見えて、上下の歯 悉《こと/゛\》く欠けゝり。
夫れより阿呆《あほう》の様になりて、間もなく死にたり。
大久保新田近所には狐ありて、夜に入れば人をあやなすと言へり。
【現代語訳】
「狐が鬼女に化けた話」
麹町《こうじまち》十二丁目、大黒屋長助と言う人の所に、権助という十七、八歳の若い使用人がいました。
ある時、大久保百人町の御組《おくみ》[与力や同心が住む組屋敷]まで手紙を持って行き、返事をもらって帰る用事を言い付けられました。
もう日が暮れて、しかも雨が強く降っていたので、傘をさして出掛けたのですが、行く先にずぶ濡れの女性がいるのを見付けました。
権助は、
「どうぞ傘にお入りくださいませ」
と声を掛けて近づき、その女性の顔を見ると、口が耳の端まで裂けて、髪を振り乱した化け物でした。
権助は、「あっ」と言ってすぐに倒れ、気を失いました。
その内、誰かが倒れている権助を見付けて、近所の人などが立ち会って調べると、手紙を持っていました。
そこで、まず、宛て名に書かれていた百人町の住所に人を遣わしました。
百人町からやってきた人と近所の人などが協力し、気付け薬を使って権助の意識を回復させ、
「どうして、気を失ったのだ」
と聞くと、先程のあらましを語ったのでした。
そして、大黒屋長助の使用人だと分かったので、権助を駕籠に乗せて麹町に送り届けました。
とても恐ろしかったようで、権助の上下の歯は全て欠けていました。
それから権助はパッパラパーのようになって、間もなく死にました。
大久保新田の近所には狐が住んでいて、夜になると人を化かすと言われています。
やっぱ、江戸時代の口裂け女は「ポマード」じゃなくて「鬢《びん》付け油」とか言ったら逃げてったのかなあ?ヾ(๑╹◡╹)ノ"
※前回までまだご覧でない方は、こちらからどうぞヾ(๑╹◡╹)ノ"
◆インフォメーション
現代語訳はありませんが、詳しい注が付いているので、古文を勉強されたい方には最適な一冊です。大学のテキストにも使用されています。
※北見花芽の中の人も少しだけ担当しています。
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