では、鳥山石燕作『百器徒然袋』(文化2[[1805]年刊)の「袋貉《ふくろむじな》」の項を読んでみたいと思います。
前回をご覧になってない方は、先に前回の記事からご覧くださいませヾ(๑╹◡╹)ノ"
kihiminhamame.hatenablog.com
百鬼徒然袋 3巻. [2] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【原文】
「袋貉《ふくろむじな》」
穴の貉の直《あたひ》をするとハ、覚束《おぼつか》なきことの喩《たと》へに言へり。
袋の中《うち》の貉も同じ事ながら、鹿を追ふ猟師の為にハ、真《まこと》に袋の物を探るが如くならん、と夢の中《うち》に思ひぬ。
【現代語訳】
「袋貉《ふくろむじな》」
「穴の貉《むじな》の直《あたい》をする」という言葉は、「あてにならないこと」のたとえに使います。
「袋の中《うち》の貉《むじな》」も「穴の貉の直をする」と同じことを意味するのですが、鹿を追う猟師にとって、手探りで袋の中の物を探すくらい、広い山の中で鹿を見つける事は本当に大変なのだ、と私[作者]は夢の中で思いました。
【解説】
「穴の貉の直をする」は「穴の貉を値段する」という諺《ことわざ》のことでしょう。
「穴の貉を値段する」は、「巣穴の中のムジナを、まだ捕まえてもいないのに、いくらになるか考える」という事です。
「捕らぬ狸の皮算用」と同じ意味の諺ですね。
で、ご覧のように、添えられた文章では、絵とは直接関係のない事が書かれ、描かれている絵に関しては何も触れられておらず、袋貉がどんな妖怪かは全く分かりません。
描かれている絵では、女官風の姿に化けたムジナが袋を背負っています。
この袋は、宿直袋《とのいぶくろ》[寝具を入れる袋]だと言われ、実は袋が本体だという説もあります。
まあ、袋貉は百鬼夜行図に描かれている妖怪が元ネタだったりするのですが。
百鬼夜行絵巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
さて、鉄腕DASHでは、「女妖怪・魔魅《まみ》」と紹介されていましたが、
ざっとこの時代の資料を見た限りでは、マミが女妖怪である資料も、「魔魅」という漢字が使われている資料も見当たりませんでした。
おそらく、「女妖怪・魔魅《まみ》」というのは、戦後の妖怪図鑑かなんかで、言われ始めたんだと思われます。
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』では、「狸《たぬき》」「貉《むじな》」「猯《(ま)み》」は別の動物として掲載されていますが、絵を見る限り、似たような姿なので、判別は難しいですよね(笑)
倭漢三才図会 : 105巻首1巻尾1巻. [26] - 国立国会図書館デジタルコレクション
ちなみに、『別れても好きな人』はロス・インディオス&シルヴィアのヒット曲ですが、
youtu.be
実はオリジナルは松平ケメ子さんが歌ったバージョンでした。
youtu.be
松平ケメ子さんのバージョンでは、2番の歌詞の始めが「高輪《たかなわ》」ではなく、「狸穴《まみあな》」と歌われています。
ムード歌謡としては、「狸穴」では雰囲気が出ないから、「高輪」に変えられたのでしょう(笑)
「狸穴《まみあな》」は江戸時代からある東京の地名なのですが、「狸《たぬき》」という字が「マミ」と読まれています。
これもまた、タヌキやらマミやらがごっちゃになっていた一例です。
タヌキのこともムジナって言ってたんだよね?
そうだよ。
じゃあ、袋貉が背負ってる袋って、やっぱキャンタマ袋だよねヾ(๑╹◡╹)ノ"
※Wikipediaの画像を表示しています。
あえて言わなかったことをわざわざ言うんじゃないヾ(๑╹◡╹)ノ"
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